SAPジャパンは11月7日、オックスフォード・エコノミクスと同社が行った最近の日本企業のサステナビリティへの取り組み実態に関する調査結果を発表した。
今回の調査から、日本企業がサステナビリティから価値を得るために、課題があることが明らかになったという。70%の企業が持続可能性と収益性を同時に実現することは難しいと考えており、現在、サステナビリティ戦略から大きな価値を得ていると回答した企業はわずか6%にとどまる結果になっているという。
この結果について同社は、多くの組織において、サステナビリティ戦略と実際の活動に乖離があるためと推察している。日本企業の68%がサステナビリティに関する戦略を明確に発信している一方で、その戦略が成功裡に実現した場合にリーダーにインセンティブを与えているのはわずか21%、サステナビリティの取り組みに積極的に参加している従業員は半数以下の48%にとどまっているという。
今日の日本では、サステナビリティ戦略はコンプライアンスによって大きく影響を受けており、調査回答者は、事業における持続可能性の主要な推進力は、「コンプライアンスリスク」と回答した人が60%と最も多かった。これに、生産性(58%)、市場の評判(57%)という回答が続いている。この回答は、サステナビリティから得られる主な利益として、二酸化炭素排出量の削減に次いで、コンプライアンス遵守が挙げられていることと一致する結果になっている。
サステナビリティの成果を向上させる上で重要とされている「組織内のデータを効果的に活用しより多くのデータに基づいた意思決定を行うこと」に関して、78%の日本企業が「意思決定のためのデータの有効性が低いことは、中程度の課題である」と考えており、今回の調査では、組織全体の二酸化炭素排出量を計算している企業は5社に1社以下であることも判明している。
また、自社のビジネスにおけるサステナビリティを測定するためのデータ分析に投資していると回答した日本企業の回答者の半数以下の45%にとどまり、さらに、サステナビリティデータの取得方法を従業員に教育していると答えた回答者は36%と少数だったという。