大阪公立大学(大阪公大)は11月2日、U字型の振動増幅パーツを取り付けた小型の振動発電素子を開発し、ヒトの歩行運動で発生する振動からの発電性能を約90倍に増大させることに成功したと発表した。

同成果は、大阪公大大学院 工学研究科のSengsavang Aphayvong大学院生、同・吉村武准教授、兵庫県立大学大学院 工学研究科の神田健介准教授、大阪産業技術研究所の村上修一室長らの共同研究チームによるもの。詳細は、米国物理学協会が刊行する応用物理学全般を扱う学術誌「Applied Physics Letters」に掲載された。

今後、装着型の電子機器であるウェアラブル端末が普及していくことが予想されている。ただし、そのためには「充電不要」という機能を実現できるか否かが鍵になると考えられている。そこで研究開発が進んでいるのが、歩行といったヒトの普段の活動を利用して発電する環境発電(エネルギーハーベスティング)の技術である。

研究チームは、圧電効果を利用した小型振動発電素子の研究に取り組んできており、これまでの研究では、周期が一定な人工的な振動を利用する場合で、40μW/cm2の発電性能を持つ素子を開発済みだという。しかし、自然界の非定常な振動に対しては発電性能が低下するという課題があったという。

そこで今回の研究では、非定常な振動の一例として衝撃に着目することにしたとする。その理由は、ヒトの歩行運動などでは衝撃的振動が多く発生することに加え、ゆっくりとした振動も周波数上方変換という技術を使えば衝撃的振動に変換できるからだという。