東京商工リサーチは11月1日、2022年1月から9月までの上場企業の「早期・希望退職」実施状況について伝えた。同調査は、「会社情報に関する適時開示資料」(2022年9月30日公表分まで)を基に、具体的な内容を確認できた上場企業を対象に抽出したもの。

同社の調査により、同時期に早期・希望退職者の募集が判明した上場企業は、33社(募集人数5,000人)にとどまることがわかった。

コロナ禍の2020年以降、1月~9月の累計では社数、募集人数ともに最少を記録、募集人数は通年ではコロナ前の2019年(通年35社、1万1,351人)を下回る可能性も出てきたという。

2022年9月末までに早期・希望退職者の募集が判明した上場33社の業種別は、アパレル・繊維製品と機械が各4社で最多となった。外食、小売などコロナ禍の直撃を受けた業種は9月までに募集が判明した企業はなく、コロナ前と同様に製造業を中心とした募集に再び戻った。

33社の直近の通期損益は、半数以上の18社(構成比54.5%)が黒字で、黒字企業の実施が赤字企業を上回るのは、2019年以来3年ぶりとなる。富士通や日本ペイントホールディングスなどの増益企業で将来を見据えた人員構成の是正などが散見されたとのことだ。

一方、不採算部門や事業所などを廃止し、新事業やDX(デジタルトランスフォーメーション)人材などに振り向ける配置転換は、大企業を中心に進んでいるという。

同社が10月に発表した上場企業の「従業員の配置転換(配転)・再配置」調査では、2022年1月~9月に従業員の配転・再配置を実施した企業は2019年以降の4年間で最多の64社に上っている。

  • 2022年 主な上場企業 希望・早期退職者募集状況 資料:東京商工リサーチ