DigitalBlastは11月1日、同社の小型ライフサイエンス実験装置「AMAZ(アマツ)」の2024年の国際宇宙ステーション(ISS)への設置・運用のために、民間商用宇宙ステーションの運用を2028年から開始する予定の米Axiom Spaceと、打ち上げや軌道上での運用、実験容器の回収などにかかる業務委託契約を締結したことを発表した。
アルテミス計画のような有人宇宙探査において、宇宙環境での食の確保や植物栽培に対する課題意識が高まっている。これまでの研究から、ISSなど微小重力環境が植物の育成に大きな影響を及ぼすことが明らかになっているが、地球のおよそ1/6Gである月やおよそ1/3Gである火星など、低重力環境の植物育成への影響はまだ十分には把握されていない。
DigitalBlastがそうした状況を踏まえて立ち上げたプロジェクトが、月面での生態循環維持システム構築に向けた「NOAH」である。その第一歩の位置づけとなる小型ライフサイエンス実験装置「AMAZ」は、2024年のISSへの設置・運用を目指し、現在、地上実験が進められている。
今回、DigitalBlastが業務委託契約を締結したAxiom Spaceは、「ISS National Lab」認定パートナーであり、民間商用宇宙ステーションの建設計画に加え、2022年4月に完全民間宇宙飛行士ミッション「Axiom Mission 1(Ax-1)」を成功させたことでも知られる。同社の民間商用宇宙ステーション建設は、2024年から開始する予定となっている。
DigitalBlastが今回、Axiom Spaceと業務委託契約を締結した理由は、2024年中にISSでのAMAZを用いたコケ栽培実験を行うためだという。Axiom Spaceには、打ち上げや軌道上での運用、実験容器の回収などで必要とされる業務が委託される。またAxiom Spaceは微小重力や地球低軌道上(LEO)を利用する研究開発の支援を行っており、AMAZ打ち上げに向けた事前準備や安全審査などのサポートも提供されるという。
なお、DigitalBlastは今後、Axiom Spaceの民間商用宇宙ステーションでのAMAZの設置・運用も視野に入れ、両社で連携の検討を進めていくとしている。