TSMCが1nm台プロセス(1.4nmとみられる)の量産工場について、台湾の新竹科学園区龍潭地区(桃園市龍潭区)(新竹科学園区の一部だが龍潭科学園区とも呼ばれる)に設置し、2027年からの量産を開始する可能性が出てきたと、複数の台湾メディアが報じている。
同社は現在、3nm(N3)プロセスについて、台南の南部科学園区(サイエンスパーク)にて2022年第4四半期後半より量産を開始する計画のほか、2nm(N2)プロセスについては新竹科学園区宝山地区(新竹県宝山郷)にて2024年後半~2025年前半より量産を開始することを目指して工場の建設を進めている。
今回の報道に対し、TSMCは台湾で将来の半導体工場建設に適した用地を探していることは事実としながらも、いかなる可能性も排除しないで検討を進めていると、いつもながらのコメントを出したという。
先端ファウンドリで競合するSamsung Electronicsも先般、2027年に1.4nm(SF1.4)の量産を目指すことを明らかにしており、1nmプロセス台でも、ほぼ同タイミングで2社が火花を散らすことが予想される。
新竹科学園区管理局の王永壮局長は、龍潭科学園区の第1期区画はすでに用地がほぼ埋まっているほか、第2期区画は緑地や公園とする計画であるため、新たに企業が入居しようとすれば、第3期区画を検討することになると説明しているという。
龍潭科学園区は、TSMCの後工程ファブや半導体用シリコンウェハメーカーの合晶科技(Wafer Works)など多数のハイテク企業がすでに工場を稼働させており、TSMC本社や研究所のある新竹市にも近いというメリットもある。半導体の前工程ファブの稼働に必要な電気や水については、2027年までに新竹市の海水淡水化プラントが完成し、台湾電力の大潭火力発電所(桃園市観音区)が新たに発電機3基による送電を開始する予定であることから、工業用水と電力供給も問題ないと関係者はみており、有力候補地と考えられるとしている。