レッドハットは10月27日、年次イベント「Red Hat Summit: Connect」を対面形式で開催した。本稿では、「Explore what's next ~ ビジネスアジリティの探求とブレイクスルー ~」というタイトルの下で行われた基調講演のハイライトを紹介する。
3年ぶりの対面での年次イベントを開催
トップバッターを飾った代表取締役社長の岡玄樹氏は、「今回から名称が変わったが、内容はほぼ変わっていない。これまでと一つ違うことは、3年ぶりの対面イベントということ。3年分のエネルギーと知見をもって臨みたい」と、対面でのイベント開催に対する熱意を見せた。
同社の主力製品といえば「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」が真っ先に挙がるが、岡氏は社長 兼 CEOのマット・ヒックス氏の優先事項は、オープンハイブリッド、マネージドクラウドサービス、エッジソリューションであると説明した。
「今日、マネージドサービスを耳にする機会は多いと思う。クラウドが到来し、クラウドの先のエッジに注目が集まっているが、エッジはまだ体験するほど変化が起きていない。しかし、2025年を見据えて今から小さく見据えないと、花が咲かないので、着々と進めたい。これらに取り組むにあたっては、パートナーやISVとのコラボレーションが必要」
Red Hat OpenShiftもRHELレベルのシェア獲得を
続いて、岡氏は同社が注力しているクラウドをビジネスに活用して成功する秘訣について、説明した。同氏は、同社がクラウドを活用したビジネスに貢献できる点として、「アイデアのスピーディーなリリースと継続的な改善」「迅速なアプリケーション配備」「ビジネスアジリティの加速」を挙げた。
企業では、アプリケーションにおいてクラウドに適したモダナイゼーションが求められており、また、ビジネスと組織全体にアジリティが必要とされているという。
こうした施策を支援するシステム基盤が「Red Hat OpenShift」となる。岡氏はRHELがLinu市場で80%のシェアを獲得していることを引き合いに出し、OpenShiftもRHELレベルの市場シェア獲得を目指すとの意気込みを見せた。
さらに、岡氏はOpenShiftが国内14社のクラウドサービスプロバイダーから提供されていることを紹介し、OpenShiftのプレゼンスの高さを強調した。
NECとグローバルで戦略的な協業を拡大
続いて、岡氏は他社の協業について説明した。最初に紹介したのは、今年9月に発表されたNECとの取り組みだ。両社はコンテナプラットフォーム「Red Hat OpenShift」上でのモダナイゼーションとDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に向け、グローバルで協業を拡大する。
岡氏はNECとの協業拡大について、「NECとの協業は長年継続してきたが、今年、戦略的な関係を拡張した。本社のエンジニア同士が協業を進め、グローバルで共同開発を行っていく」と述べた。
NECは、Red Hat OpenShiftをミッションクリティカル領域におけるプリファード・コンテナ・プラットフォームとして位置づけ、共同COE(Center of Excellence)を編成する。
両社の協業拡大について、NECの代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの森田隆之氏とRed HatのCEOのマット・ヒックス氏が共にビデオ・メッセージを寄せており、レッドハットがこの協業を重視していることがうかがえた。