ニールセン デジタルは10月27日、消費者のマルチスクリーンの利用動向調査「ニールセン デジタル・コンシューマー・データベース2022」をもとに、デジタルコンテンツの視聴動向についての分析結果を発表した。
9月時点では40%が主要SNS上で動画を視聴。若年層ほどその傾向は強く、30代以下では62%がSNS上で動画を視聴していたという。そのうち30秒未満の短編の動画が昨年から7ポイント増加し60%に利用されているという。
数年前に「Instagram」にリール機能が追加されるなど、各サービスでの機能追加により、短編動画視聴は着実にSNS利用者の中で定着。短編動画を視聴する人ほどSNS内のおすすめ機能を活用する割合が低く、自分の気に入ったものを自分から探して視聴している傾向があるという。
短編動画視聴者は各メディアに費やす視聴時間の分散化を促し、自分の興味に合わせてコンテンツを部分的に選んでいるという。実際、SNSで動画を利用する人では複数デバイスを利用する傾向も高く、全体では43%の人が複数デバイスの同時利用経験があるのに対し、SNSで短編動画を視聴する人では60%であった。テレビを視聴しながらのスマホ利用が最多で85%で、30秒未満の短編動画を利用している人ではその傾向が特に高かったという。
つまり、テレビとデジタルの両方を組み合わせて実施する広告キャンペーンの場合、消費者がどのようなタイミングでどちらのメディアに集中しているのかを考慮し、例えばテレビでは「音」で消費者の注目を惹くのに対し、デジタルではターゲットの関心の高いテーマを設定するなど、広告に注目してもらう方法を考えることが一層重要だとニールセンはみている。
ニールセンのシニアアナリスト・コヴァリョヴァ・ソフィヤ氏は、次のように述べている。
「同じサービスの中でも、その利用方法や目的は多様化し続けています。中でもSNS上でスキマ時間に利用できるような、短編動画の利用が増加傾向にあります。近年はその短編動画に着目して、マーケティングプランに取り入れているマーケティング担当者も増えていることでしょう。一方で、短編動画を利用する人ほど、テレビとの重複利用が多いこともわかりました。マーケティング担当者としては、新しく定着しつつあるサービスや機能が消費者に与えるメディア視聴環境の変化を把握し、効率的にコミュニケーションをとるためにも、その利用動向にあったメディアプランを設計していくことが重要になるでしょう。」