Synspectiveは10月25日、オーストラリア・クイーンズランド州に本拠地を置く、衛星画像および地理空間ソリューションのスペシャリストであるGeoimageとパートナーシップを締結したことを発表した。
現在、Synspectiveは同社で開発した小型の合成開口レーダー(SAR)衛星を3機運用しており、2023年には4機目を打ち上げる予定だ。現状でもオーストラリアのほぼ全域を頻繁に捉えることが可能だが、4機体制になれば毎日オーストラリア全域を観測できるようになるという。
Synspectiveの小型SAR衛星の地上分解能は1~3mという精度で、合成開口レーダーのために天候や煙などに左右されず、また日夜問わず地上を観測することが可能だ。近年頻発している洪水やサイクロン、山火事をはじめとする自然災害時にも地上を観測することができることが強みだという。
Geoimageは、Synspectiveとの新たなパートナーシップが、多くの意思決定者に対し迅速かつ多量のデータを提供する重要な一歩になると考えているとしており、同社のエンタープライズ・ソリューション・マネージャーのMark Covington氏は、両社の新たなパートナーシップについて、「地上で何かしらの変化が発生した際、広範囲にわたって迅速に洞察を提供できる衛星データに対する需要が、複数の分野で高まっています。SAR衛星を活用した日々の観測は、鉱業や保険、災害管理に携わる組織に大きなメリットをもたらすと期待しています」とコメントしている。
なお、SARユーザーは、Synspectiveの提供するソリューションサービスを利用する想定だという。同サービスは、機械学習の利点を活かして視覚的に説得力のある方法で情報と解析結果が提供される。Synspectiveの提供するソリューションの1つである浸水被害モニタリングサービス「Flood Damage Assessment」(FDA)では、浸水による道路や建物、そのほかの被害の分布と深刻度を示す直感的なインタフェースにより提供されているとする。
今年で3年連続となるラニーニャ現象の発生が確認されており、日本を含めた世界中で気象への影響が懸念され、オーストラリアもその例に漏れない。洪水は政府や資産管理者の双方にとってリスク管理対象の上位にあることから、評価ツールとしてSARを活用することは大きなメリットがあると期待されている。