スノーフレイクは10月24日、Snowflakeマーケットプレイスに関する説明会を開催した。同日、メディカル・データ・ビジョン、Tangerine、エム・データ、インテージ、XMAPの5社がSnowflakeマーケットプレイスへの参画を発表した。
企業の外部データ活用を推進する「Snowflakeマーケットプレイス」
スノーフレイク 社長執行役員の東條英俊氏は、同社のビジネスの概況として、顧客のデータの結びつきである「ステーブルエッジ」が2021年度は674だったのに対し、2022年度は1550と大幅に増えているとして、「データ共有が一気に拡大してきたことを実感している」と述べた。
さらに、東條氏は「外部データの活用、業界を巻き込んだデータ共有が日本でも進んできている。加えて、気象データ、株価情報、人流データなどの一般データの共有も進んでいる。外部のデータと自社のデータを突き合わせることで、ビジネスの実態を把握し、経営判断を起こしていく。こんな動きが出てきている」と語った。
スノーフレイクは企業によるデータ共有を促進するため、データをリアルタイムで共有・売買できる「Snowflakeマーケットプレイス」を展開している。これまでに、エコノミー、地理情報、マーケティングなど、さまざまな業種の企業がSnowflakeマーケットプレイスでデータの提供を開始しているが、今回、新たに以下の5社がSnowflakeマーケットプレイスへの参画を開始した。
- インテージ、Snowflakeマーケットプレイスに参画 - 店舗情報DBと商品情報DB提供
- Tangerine、Snowflake マーケットプレイスに参画-「Store360」のデータ公開
- xMAP、Snowflakeマーケットプレイスに参画 - 飲食店業界のメタデータ提供
- エム・データ、Snowflake マーケットプレイスに参画-TVメタデータ公開
- MDV、Snowflake マーケットプレイスに参画-RWD公開
データシェアリングで加速するデータの民主化
説明会では、9月30日よりSnowflakeマーケットプレイスでデータ・プラットフォーム「QUICK Data Factory」が提供するデータの販売を開始したQUICKのサービスプロダクト本部 副本部長 山内康弘氏が、Snowflakeマーケットプレイスにおける取り組みについて説明した。
「QUICK Data Factory」は、同社が保有する独自データに加えて、他の情報会社のデータや、事業法人などが持つデータを分析・加工したうえで提供するデータ・プラットフォーム。
オルタナティブデータ(従来の経済統計や財務情報とは異なる非伝統的なデータ)の提供に力を入れており、12月よりSnowflakeマーケットプレイスでもオルタナティブデータの提供を予定している。
欧米に比べて、日本ではオルタナティブデータの利用が進んでおらず、また、日本で収集されたオルタナティブデータは少ないとして、同社は日本発のオルタナティブデータを牽引していくことを標榜している。
加えて山内氏は、「データの利活用、データドリブンなビジネスを進めるために、データの民主化が必要と考えている。そのため、QUICK Data Factoryを立ち上げた」と語った。
そして、「今は、非常時など必要になるとデータを集めるがちだが、今後は、日ごろからデータをシェアリングしておくことが日常になる世界がやってくる。データシェアリングを活用することで、データの民主化が進むと考えられる。こうしたことから、スノーフレイクのマーケットプレイスに参加した」と、山内氏は語った。
データドリブンなサステナビリティには新しいプラットフォームが必要
説明会には、サステナブル経営を支えるパートナーとして、デロイト トーマツのリスクアドバイザリー シニアマネージャー 朝日基雄氏も参加した。
朝日氏は、データドリブンなサステナビリティが注目されているとして、その背景を次のように語った。
「サステナビリティについて、対外的にアカウンタビリティを示していくことが求められており、その際、ESGのインテグリティを重視していく必要がある。つまり、ESGの観点で、世の中のフォーマットに従って管理し、公開していくことが必要となる。これからは、定められた手続きに沿って処理されているかについて、ESG特有の信頼性が担保された形で示すことがチャレンジとなる。セキュア、完全性という観点から対外的に保証されていることが、次なるデータプラットフォームの必要要件となる」
昨今、CO2を削減するにあたり、自社の排出量だけでなくサプライチェーン全体を対象とした「サプライチェーン排出量」が注目を集めている。「サプライチェーン排出量」は「スコープ1」「スコープ2」「スコープ3」に分かれているが、スコープ2と3はサプライチェーンを横断して、自社以外のステークホルダーのデータも集めていく必要がある。
そのため、朝日氏は「クローズドなアーキテクチャでは、スコープ2と3の排出量を測定することは無理だろう。各社が求められるデータをオープンな場所において、一時的なアカウンタビリティが求められる企業が集計する必要がある」と説明した。
また、ESGに関するデータのやり取りはプラットフォームを通じて高度化していくとして、「新たなプロセスを構築する必要がある」と朝日氏は指摘した。
こうした一連の流れをスマートに行う上で必要なものがテクノロジーであり、「テクノロジーをどれだけ上手に使いこなせるかが企業にとってコンピテンシーの分かれ目だと思う。このテクノロジーの部分を担うのがスノーフレイク」と朝日氏は語っていた。