2022年10月18日から21日まで幕張メッセにて開催された「CEATEC 2022」で、京セラは、同社のセンサ技術を活用した自動配送ロボットや人間拡張技術、3次元物体認識AI技術を活用し時間栄養学に基づいた食事サポートを行うリアルタイム食事管理システムなどを展示した。
京セラのセンサ技術を集結した自律走行ロボット
配送業の現場などにおける人手不足の解消に向け、京セラは、センサ技術を活用した自動搬送ロボットの開発を行っている。今回の展示ブースでは、ロボットによる自律走行の実演が行われた。
この自動搬送ロボットは、四方に全周囲センシングカメラを、前方と後方にはミリ波レーダとステレオカメラを搭載しており、周囲の障害物を検知。自動で衝突を回避し、目的地までの自律走行を行うとのこと。また、物陰から突然人が飛び出した場合などでも、即座に停止し衝突を避けるという。
さらに、四方にセンサを搭載することでロボット上部に空間的な余裕が生まれるため、上面全体を荷台として活用できる点も強みとのことだ。
「舞LIFE」がコンセプトとなった人間拡張技術
京セラブースではそのほかにも、センサを活用とした技術として、独自で開発したウェアラブルセンサと歩行解析AIの活用により、使用者の実際の歩き方を計測した上で、理想の歩き方に近づくようなアドバイスを行う「歩行センシング&コーチングシステム」を展示。ブースではデモンストレーションも行われた。
同社はこの歩行コーチングシステムをはじめ、リモート会議でのコミュニケーションを円滑化し対面での会話のような自然さを実現する「フィジカルアバター」、聞き逃してしまった重要な周囲音をAIシステムで検知し自動でリプレイする「聴覚拡張ヒアラブルデバイス」など、技術によって人の能力を広げる人間拡張技術の開発を推進している。
京セラはその開発コンセプトを「舞」と題し、身体・知覚・認知・存在においてさりげなく人に寄り添う技術を提供することで、「心躍る幸せな人生『舞LIFE』」の実現を目指すとしている。
リアルタイム食事管理システム
昨今、食事内容を撮影した写真をAIによって解析することで、カロリーの算出や栄養バランスに関するサポートを行うソフトウェアが多く開発されている。
そんな中で京セラは、3次元物体認識AI技術を活用することで食事中から健康管理をサポートし、健康寿命の延伸に貢献する「リアルタイム食事管理システム」を開発している。今回の展示では、食事の光景に見立てたデモ環境でシステムによる食事サポートの実演が行われた。
同システムでは、食事内容の把握に加えて、3次元での認識によって食事の進行状況を記録。食べている速度や量、順序をリアルタイムでAIによって解析し、食事の状況に対する助言を行うという。また、システムによるアドバイスは、近年注目を集める時間栄養学に基づくものとのことで、料理を口に運ぶペースの調整や効率的に栄養を摂取する順番など、具体的な指示が行われる。
同システムは、高齢者の健康サポートやアスリート向けの食事指導などでの利用が見込まれ、将来的には一般向けサービスとして提供する可能性もあるとしている。
さまざまな分野の課題解決を目指す京セラ
京セラはこれらのほかにも、CEATEC AWARD 2022のトータルソリューション部門で準グランプリを受賞した、リアリティある映像表現が空中に浮かびあがり指で触れたかのような体験ができる「高精細空中ディスプレイ」や、白色光と近赤外光を一体化したレーザライトと、可視光と近赤外光それぞれのセンサ映像を融合し危険要因を検知するフュージョン認識AIによる「車載ナイトビジョンシステム」など、14の製品・ソリューションを展示した。
今回展示されたものは研究開発段階にあるものが多いというが、同社のブース担当者は、「社会におけるさまざまな分野から課題を発見し、その解決に取り組むのが京セラの強み」と語り、今後実用化に向けて動いていくとした。