Splunk10月20日、Enterprise Strategy Group社と共同で実施した、データイノベーションの経済効果を定量化したグローバル調査レポート「2023年データイノベーションの経済効果」を発表した。
同調査は、オーストラリア、フランス、ドイツ、インド、日本、ニュージーランド、シンガポール、英国、米国の9カ国のITセキュリティおよびビジネスリーダー2,000人を対象に実施したもの。
同レポートでは、データイノベーションの優位性とビジネスの成功との間に相関関係があり、データ活用に優れた組織は9.5%の増益を達成し、市場で競合他社よりも優位に立つ可能性が2.9倍高く、利益目標の超過率が2倍に達することが明らかになったと結論づけている。
同調査では、データの分類、集約、品質、分析スキル、分析ツール、監視という6つの主要領域すべてにおいて優れている組織」をリーダー的組織として定義している。さらに、6つの領域のうち、3つ~5つの基準を満たす組織を「取り組み中の組織」、それ以下の組織を「ビギナー組織」としている。
日本法人社長執行役員 兼 President & Corporate Officer, Japanの野村健氏は、グローバルの調査結果において、注目すべき点として「レジリエンス(回復力)の違い」を挙げた。同レポートにより、リーダー的組織は、セキュリティインシデントを迅速に特定かつ対処できる割合がビギナー組織よりも11%高く、レジリエンスが高いことがわかっている。
同レポートは、日本に関する調査結果もまとめている。例えば、「今後24カ月間に優先的に対応すべきと考えるビジネス/ITのすべての課題の中で、データの把握と活用はどのくらい重要な課題」という質問に対し、「社内の最優先課題である」と回答した日本の組織は13%にとどまり(全体の平均は26%)、調査対象の9カ国の中で最下位だった。
また、データイノベーションに関する経営幹部レベルの役職を設けているグローバルのリーダー的組織は90%以上、ビギナー組織は63%~73%となっている。これに対し、日本でこれらの役職を設けている企業は56%~62%と、グローバルのビギナー組織全体の平均よりも低い結果が出ている。
そして、データイノベーションを阻む課題を日本の組織に聞いたところ、「アイディアを実現するために各チームを調整してまとめるのが困難(29%)」「イノベーションに時間がかかりすぎる(28%)」「リスクを過度に嫌う組織文化がある(25%)」が上位に挙がった。
こうした日本企業の現状について、野村氏は「日本企業は社内にエンジニアが少ないから、内側に技術が蓄積されず、内製化もできない。その結果として、自社でITを使ったイノベーションが起こしづらい」と指摘した。
Splunkは企業がデータイノベーションを促進するための戦略として、以下の8点を掲げている。
- データイノベーションを優先事項にする
- 成功に向けて投資する
- 経営幹部レベルでイノベーションに取り組む
- センターオブエクセレンス(CoE)を構築する
- テクノロジー関連のデータストリームを重視する
- 次に「顧客を知る」ためのデータを活用する
- 製品イノベーションではスピードと品質のどちらかに集中する
- 幅広く警戒心を持つ
野村氏は、8つの戦略の中でも、「人材に投資することが重要」として、CoEを構築することを勧めていた。CoEを構築するにあたっては、「失敗を恐れないことが大事。われわれはお客様同士を紹介しているが、先に進んでいる企業を参考にすれば、自社がぶつかるかもしれない問題を把握して準備できる」と語っていた。