デジタルトランスフォーメーション(DX)においては、単なるデジタル化ではなく、変革が求められる。「デジタルやAIを使って企業の稼ぎ方を変えるのがビジネスにおけるDXだ」と言うのは、かつてネスレ日本でCEOを務めた高岡浩三氏(現ケイアンドカンパニー 代表取締役)だ。
9月29日に開催された「ビジネス・フォーラム事務局×TECH+フォーラム for Executive 2022 変革を担う経営者の条件」で、「DXによるイノベーション経営とマネジメントリーダーシップ」と題して同氏が講演を行った。
日本にプロ経営者が少ない理由
失われた30年――バブル崩壊から停滞が続く日本経済は、よくこう表現される。32年前、世界の時価総額トップ企業はNTTであり、上位20社の7割を日本企業が占めていた。現在、上位20はおろか、上位50まで広げてみても日本企業の名はない。賃金はほぼ横ばい。当時日本より賃金が低かった英国、フランス、韓国に抜かれている。
高岡氏は日本がこうした事態に陥った原因を「プロの経営者が非常に少なかった」と分析する。その背景には、メインバンクシステム、年平均100万人で増える人口、低い労働力コスト、世界有数の高い労働力の質という4つの日本固有の特徴によってもたらされた「ガバナンスの欠如」「売上至上主義」などがあると言う。