日立製作所は10月19日、複数の拠点を有する事業者向けに、再生可能エネルギーと系統監視制御システム、AIなどを用いた統合エネルギー・設備マネジメントシステムで構成されるソリューションを活用し、自己託送制度を利用した電力需給による多拠点エネルギーマネジメントサービス事業の検討を開始することを発表した。
従来の自己託送システムは、託送電力の計画値と実績値の差分によって発生するペナルティを回避するため、再生可能エネルギーの発電量の計画値を少なく設定し、出力を抑制する制御を行なっている。
同事業では、再生可能エネルギーを最大活用する運用、発電と需要精度の高い需給計画による運用を目的に、天候の変化により発生し得る発電誤差をAIにより予測し、計画に反映させる技術を活用するとともに、自己託送における需給計画を30分ごとに発電側・需要側の双方で補正する。
さらに、出力抑制時の潜在発電量および蓄電池の状態を診断する技術を活用し、リアルタイムでパワーコンディショナーへの指令値にフィードバックすることで、託送効率向上とインバランス抑制のために必要な蓄電池容量削減を両立したシステムを構築する。これらの技術により、発電・託送する電力エネルギーと蓄電池とのバランスを最適化したコストメリットの高い運用を行うとしている。
日立は同事業の検討にあたり、パイロットモデルとして、埼玉県鳩山町の同社研究開発グループ鳩山サイトに設置した太陽光発電設備で発電した電力の一部を東京都国分寺市の同国分寺サイトに送電するシステムを、2024年3月から運用開始する。これにより、国分寺サイトで発生するCO2排出量を、2030年度までに2010年度比で実質75%削減し、「日立カーボンニュートラル 2030」の達成に貢献するとしている。