リコーは10月19日、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(以下、慶應SDM)の白坂成功教授と共に、同社のビジョン「“はたらく”に歓びを」の実現に関する共同研究を開始したことを発表した。
リコーは創業100年を迎える2036年に向けたビジョンとして「“はたらく”に歓びを」を掲げ、働く人の充足感や達成感、自己実現の実感につながる変革を同社のソリューションやサービスで支援する。業務の効率化や生産性の向上を超えて、人が人ならではの創造力を発揮できる環境の実現を進める中で、今回の慶應SDMとの共同研究は、その実現に向けた取り組みの一つとなるようだ。
同社は「はたらく歓び」について、仕事の生産性や効率の追求にとどまらず、社員が創造的に仕事を行い、組織がそれを支援しながら戦略に取り入れるなど柔軟なマネジメントによって実現できるとしている。
両者の今回の研究では、そうした「はたらく歓び」が発揮された状態を探索する実証的研究に加えて、その実践手法としてデザイン思考とアジャイルをより効果的かつ効率的に運用するための方法論開発を進める予定だ。
具体的には、慶應SDMが持つ心理的安全性の構築や組織学習に関する学術的知見と、リコーが社内で展開しているデザイン思考およびアジャイル実践の経験的知見とを組み合わせて、人材育成、組織変革、組織風土づくりを行うための実証的研究や方法論開発に着手する。「はたらく歓び」を捉える指標や、組織のアジリティ(組織へのアジャイルの浸透の度合い)を評価する指標の開発、実践的方法論の体系化などを想定しているという。
開発した指標や体系化した方法論についてはリコー社内で組織運営に取り入れるほか、2022年4月に開校したリコーグループ社員向けの学びのプラットフォーム「リコーデジタルアカデミー」のカリキュラムや研修コンテンツへの実装も予定している。