NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は10月18日から21日にかけて、「docomo business Forum’22」を開催する。同イベントは、NTTドコモ(ドコモ)とNTT Com、エヌ・ティ・ティ・コムウェア(NTTコムウェア)の統合によって、2022年7月に立ち上がったドコモグループの法人向けの新事業ブランド「ドコモビジネス」で提供するソリューションを紹介するイベントとなり、リアルとオンラインのハイブリッドで開催される。
イベント初日の10月18日には、NTTコミュニケーションズ 代表取締役社長 丸岡亨氏が「ドコモビジネス あなたと世界を変えていく。」と題した基調講演にて、ドコモビジネスで注力する領域や、3社で提供していく価値について説明した。
講演の冒頭で丸岡氏は、「5G・IoT、モバイルアプリなどのモバイルソリューションを提供してきたドコモと、クラウド・データセンターなどのネットワークソリューションを提供してきたNTT Com、そしてソフトウェア開発に強みを持つNTTコムウェアが一体となり、すべてのお客さまのDXをワンステップでサポートしていきたい」と意気込んだ。
データ活用とモバイル・クラウドファーストが軸
ドコモグループでは、先を見通せない時代が続く中においては包摂性、持続可能性、強靭性を備えた社会が求められ、2030年代にはデータ駆動型社会と分散型社会への変容がさらに進むと考えている。
そうした社会の実現に向けて、ドコモビジネスでは「モバイル・固定の境目なく、いつでもどこでも、セキュアにコミュニケーションが実現できる」環境の構築に向けて事業を展開する方針だ。具体的には、データ分析・データインサイトの取得が可能で、モバイル・クラウドファーストなサービスの提供を進めるという。
NTT Comは従来から、データ収集のための「ICTのTransformation」、データの蓄積・分析のための「Smart Data Platform」、データ活用のための「Smart World」の3つのレイヤからなるフレームワークにて、データ利活用を支援するソリューションを開発・提供してきた。
今後、ドコモビジネスの下では、ドコモグループの5G SA(Standalone)やXR(Extended Reality)技術のほか、ドコモブランドのサービスやドコモから提供するデバイスなどを通じて得たデータを生かして、法人向けに新サービスの提供を進める。
ICTのTransformationの領域では、5GSAによるネットワークスライシング機能を活用して、企業のアプリケーション開発ニーズに応じたオーダーメイド型のサービス提供を予定しているという。また、ドコモからは「docomo MEC」の名称でMEC(Multi-access Edge Computing)のサービスが提供されているが、MECを活用した超低遅延、高速・大容量、多数同時接続が可能なサービスも提供する。
以前からNTT Comは、Smart Data Platformでデータ利活用のための機能をサービスとして提供してきた。今後はXR事業を展開するNTTコノキューと協業し、XRサービスや独自のデバイス開発などを行い、同プラットフォームと組み合わせた法人向けのソリューションとして提供する構想を描いている。
Smart Worldの実現に向けては、Smart Factory、Smart CX、Smart Education、Smart City、Smart Workstyle、Smart Mobility、Smart Healthcare、Smart Constructionの8つの領域に取り組む。例えば、Smart CXでは、ドコモの保有する顧客属性データや志向性データ、リアル行動データ、ネット行動データと企業の保有するデータを掛け合わせて、ロイヤルユーザーの育成や店舗・施設計画の高度化、観光エリアの活性化などのマーケティング支援を行う。
サステナビリティにつながるGX領域でも事業を推進
このほか、同フレームワークの下で、GX(グリーン・トランスフォーメーション)領域の事業も拡充していくという。
データセンターの空調の効率化や再生可能エネルギーの活用などインフラ面の施策とともに、企業間のデータ流通基盤のグローバル対応も進める。
また、サーキュラーエコノミーやカーボンクレジットなど、企業のCO2排出量削減を支援するサービスのほか、2022年10月17日に発表された「グリーンプログラム for Employee」のように、人の行動変容につながるサービスも引き続き展開していくという。
「各企業が脱炭素やサステナビリティに向けた活動を続けているが、やはり、社員1人1人が環境に対する意識を高めて、行動変容していくことも重要だと考える。グリーンプログラムは2022年11月から当社の社内でも利用を進める。お客さまと一緒に、サステナビリティにつながる行動変容を推し進めていきたい」と丸岡氏は語った。
ドコモビジネスの事業を展開するにあたっては、2022年2月に開設された「OPEN HUB Park」を共創のための拠点として利用し、顧客やパートナー企業との協業も進める。