東日本電信電話 東京事業部(以下、NTT東日本)は10月14日、杉並区と共に、区内におけるMaaS(Mobility as a Service)を活用した地域公共交通の充実や、行政保有データのオープン化の拡充などにおける、モビリティ運行情報と地域情報などの管理を可能とするプラットフォーム(以下、データ連携PF)ソリューションの共同検討について、2022年10月12日に協定を締結して協業を開始したことを発表した。
今回の取り組みでは、杉並区の基本構想を実現するためのデジタル技術を活用した区民サービスに向けて、NTT東日本が提供するデータ連携PFを用いてデータ利活用の必要性や有効性を検証するとともに、情報連携の課題整理、および社会実装に向けた必要な機能の洗い出しなどを実施する。
現在の地方自治体では、人口減少や少子高齢化、住民意識の多様化などさまざまな行政課題を抱えている。一方で、地方自治体の職員数は減少傾向にあり、データの利活用やデジタル技術を駆使した業務効率化と、行政サービスの向上が必要だ。
政府としても、データの利活用やEBPM(Evidence Based Policy Making:根拠に基づく政策立案)を推進する姿勢を示しており、内閣官房もデジタル田園都市国家構想を打ち出すなど、全国のどこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会の実現を目指すとしている。
しかし、全国的にデータ利活用やEBPMの実践が急務となっている中ではあるが、その取り組みに必要な手法やプロセスなどは多様であり、全国的に統一されたモデルは存在していないようだ。
そこでNTT東日本と杉並区は、NTT東日本が検討中の、さまざまなデータを一元的に収集し管理と活用を可能とするソリューションを基本に、共同で必要な情報や機能を抽出して実証実験を行う。改善策とソリューションの拡充を図るとともに、社会への実装を推進するとのこと。
今後の展開として、11月3日から11月13日まで、荻窪駅南側エリアで実証運行するグリーンスローモビリティの走行位置情報と乗車人数をリアルタイムに把握する仕組みや、このモビリティの停留所近辺で各スポットを楽しく巡るための仕掛けを提供する。交通分野での新たなモビリティサービスとして、MaaSのエリア実証を進める予定だ。この実証で取得したデータに関しては、利活用や拡充の方法について共同で検討する。