佐賀大学は10月13日、日本人約10万人の一般住民を追跡している「日本多施設共同コホート研究(J-MICC study)」において、2004年から2014年に実施された全国11エリアの調査データにより、睡眠薬を週1回以上定期的に服用している人の死亡リスクが高いことを明らかにしたと発表した。

同成果は、佐賀大 医学部附属病院 薬剤部の島ノ江千里教授/部長、同・祖川倫太郎博士/副薬剤部長、同・医学部 社会医学講座 予防医学分野の田中恵太郎教授、同・原めぐみ准教授、同・西田裕一郎講師、同・古川拓馬客員研究員(佐賀大 医学部附属病院)らの共同研究チームによるもの。詳細は、睡眠医学に関する全般を扱うオープンアクセスジャーナル「Sleep Medicine」に掲載された。

厚生労働省によれば、日本人を対象にした調査によると、5人に1人の割合で「睡眠で休養が取れていない」や「何らかの不眠がある」と回答しており、睡眠に何らかの問題を抱えているという。特に60歳以上になると、およそ3人に1人が睡眠問題で悩んでいるといい、不眠症を国民病だとする声もあるという。

不眠に対する治療としては、睡眠薬を用いた薬物療法が中心となっている。現在の睡眠薬は、かつての睡眠薬ほど副作用は強くないので使いやすいものの、それでも長期的に漫然と使い続けるのは望ましくない服用の仕方であり、医師の指導のもとに適切に使用することが大切だとされている。

そうした中、研究チームは今回、J-MICC studyにおいて、2004年から2014年に実施された全国11エリアの調査データを用いて、睡眠薬に関する調査を実施することにしたという。

J-MICC studyは、文部科学省がん特定領域研究の枠組として、がんをはじめとする生活習慣病リスクに対する生活習慣を含む環境要因と個々人の遺伝子の差異の相互作用を検討する10万人規模の分子疫学コホート確立の目標を掲げてスタートさせたものだという(現在は、文部科学省科学研究費 学術変革領域研究「学術支援基盤形成」の生命科学4プラットフォームの1つであるコホート・生体試料支援プラットフォーム(通称CoBiA)の一環として実施されている)。