東日本電信電話(以下、NTT東日本)とシスコシステムズ(以下、シスコ)は10月13日に記者会見を開き、NTT東日本がこれまで「ひかりクラウド電話」の接続先としていたシスコのクラウド電話サービス「Webex Calling」について、「Webex Callingライセンス」およびその対応端末(以下、合わせて「Webex Calling」)をNTT東日本が一気通貫で10月31日から提供を開始することを発表した。
「ひかりクラウド電話」と「Webex」の窓口が一本に
NTT東日本はこれまでに「ひかりクラウドPBX(Private Branch eXchange:構内電話交換機)」や「ひかりクラウド電話」により、在宅勤務やリモートワークの環境構築を支援してきた。2022年6月からは「ひかりクラウド電話 for Webex Calling」としての接続も行っている。
今回NTT東日本が、クラウド型サービスの「Webex Calling」と、場所を問わずにオフィスの固定電話番号で発着信ができる「ひかりクラウド電話」をワンストップで提供できるようになることで、中堅・中小企業のハイブリッドワークに必要なサービスの導入や運用、問い合わせにも同社が一気通貫で対応できるようになるとのことだ。
NTT東日本のビジネス本部副本部長である長谷部周彦氏は「地域社会の経済の中心でもある中堅・中小企業では、電話など音声コミュニケーションがビジネスのベースとなっている。NTT東日本とシスコのパートナーシップによって、音声コミュニケーションから中小企業の課題解決やDX(デジタルトランスフォーメーション)に貢献したい」とコメントしていた。
これまでは、「ひかりクラウド電話」をNTT東日本が提供し、「Webex」はシスコのパートナー企業が提供していたため、利用者側で両サービスを連携させる必要があった。今回の連携によってWebex CallingをNTT東日本が提供するようになると、今後は両サービスの窓口やサポートが一元化される利点がある。
NTT東日本はライセンスとして、Webex Calling Space(月額880円)、Webex Calling Pro(月額1320円)、Webex Meetings(月額2750円)、端末登録ライセンス(月額2640円)の4種類を提供。5種類の電話端末と3種類のWeb会議端末も用意しているとのこと。また、ユーザーアカウントの作成や権限付与などの設定を代行するオプションも提供する。
シスコの代表執行役員社長である中川いち朗氏は「今回両社が連携することで、NTT東日本の地域に根差した広範な営業網と、長年培ってきた信頼関係に基づくブランド力によって、シスコの最新のテクノロジーをお客様に届けてもらえるだろう。私としては非常に戦略的なパートナーシップだと思っている」と語って期待を見せた。
「ひかりクラウド電話」でハイブリッドワークの課題を解決
続くコロナ禍の中でリモートワークやテレワークが普及しているが、これに伴って、特に中堅・中小企業ではオフィスの電話利用に関する問題が顕在化している。固定電話の取り次ぎが増えて本来の業務が進められない場面や、テレワーク時に顧客からの代表番号への入電に対応できない場面などがその例だ。
こうした課題に対して、NTTが提供している「ひかりクラウド電話」を利用することで、WebexのようなUC(Unified Communication)ツールを使って会社の固定電話番号でどこからでも通話できるようになる。オフィス勤務や在宅勤務を問わずに電話の受発信や取り次ぎも可能だ。
また、従来はチャットツールやメールなどに散在していた連絡手段を、PC端末またはスマートフォンなどにまとめられるようになるため、外出時や移動時、テレワーク時でも対応できるようになるとのこと。Wi-Fiで接続可能なため、複雑な配線が不要となりフリーアドレスやオフィスのレイアウト変更などへの対応も容易になる。
さらに、導入後はNTT東日本のエンジニアが問い合わせに対応するため、端末からネットワーク、クラウドの設定まで迅速なサポートが可能になるとのことだ。