米国商務省が10月7日に発表した新しい半導体輸出規制により、ロジックICに対するこれまでの制裁がメモリにも影響を及ぼすことになったことを受け、半導体市場動向調査会社TrendForceは、この新規制がファウンドリ業界やメモリ業界にどのように影響するのかについての分析結果を発表した。
ファウンドリ業界への影響を分析
同社によると、2020年にSMICが米商務省のエンティティリストに掲載された後、ファウンドリへの製造装置の供給について、米商務省は中国ファブに16/14nm未満の先端プロセス向け製造装置の輸出を希望する米国製造装置メーカーを規制対象としていた。
これは中国にある外資系の生産拠点への輸出でさえ対象となるものであり、結果として現在、中国にあるほとんどのファブは、28nm以上のレガシープロセスの生産能力を拡大させている。中国資本以外のウェハファウンドリとしては、TSMCのみが28nmプロセスの拡充に焦点を当てているが、先進プロセスによる生産計画は打ち出されていない。
一方の中国資本のファブは、米国以外の技術を中心とした生産ラインを開発しようとして、中国国内、およびヨーロッパや日本の製造装置メーカーと積極的に提携し、28nm以上のプロセス開発に注力してきたが、今回の規制強化により、16nmプロセス以下の微細プロセスの開発および拡大が事実上無理となる。将来的には28nm以上も規制対象になる可能性もあるという。
さらに米国政府は、NVIDIAのA100/H100やAMDのMI250などのハイエンドGPUの輸出禁止に8月末に決定。今後、HPC向けのCPUやGPU、ならびにデータセンター向けAIやスーパーコンピュータ向けAIアクセラレータなどを扱う米国の製造業者が、そうした品目を中国に輸出する際には、事前審査が必要となる。またファウンドリは、中国のファブレス企業向けにこうしたHPC関連チップを製造できなくなる可能性があるともされている。
TrendForceでは、クライアントが中国または米国のファブレスかどうかに関係なく、ほとんどのHPC関連チップは現在、TSMCの7/5nmまたは特定の12nmプロセスを使用して製造されていると認識しており、これらのほとんどが米国政府の規制対象となると見ている。