セールスフォース・ジャパンは10月11日、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)のレジリエントシティ研究ラボおよびサイバーエージェントの官公庁・自治体へのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進支援を行う「デジタルガバメント推進室」とともに、社会のデジタル化に対する人々の意識について、全国15歳~80代までの4,128名を対象に調査し、その調査結果を踏まえてさまざまな統計分析および機械学習を用いた共同調査研究を実施したことを発表した。
同調査研究は、国際大学GLOCOMの30周年記念事業の一環として実施されたもので、セールスフォース・ジャパンは行政が住民一人ひとりのニーズに合ったサービスを再構築するのを支援する観点から、サイバーエージェントは利用者にとって使いやすい行政サービスを追求する観点から、3者共同の調査実施に至ったという。
同調査研究は、デジタル社会に対する人々の考え方やイメージ、またデジタル技術でどのような生活の価値観をサポートしてほしいかというニーズの把握を目的としている。意識別クラスターとして、デジタル化の進展に対する人々の姿勢を「デジタル積極層」「中立層」「置き去り層」「反デジタル層」の4つの層(クラスター)に分類し、デジタル技術に対して各層がどのようなニーズや暮らしの価値観を持っているのかについて深掘りしたという。
社会のオンライン・デジタル化の良し悪しと関心の有無、また自身がデジタル化についていけているかどうかを聞いた質問では、デジタル化に肯定的な意見を持っていて、自分自身がデジタル化の進展についていけていると回答した「デジタル積極層」に属する人が38%、デジタル化に肯定的な意見を持っているが、自分自身はデジタル化の進展についていけていないと回答した「置き去り層」は13%、デジタル化に否定的な意見を持っている「反デジタル層」は15%という結果が出た。
また、社会のデジタル化への意識分類に影響を与える項目を、機械学習の一種であるランダムフォレストを用いて分析・抽出したところ、「年齢」「行政のオンラインサービス利用意向」「居住地域」「行政オンラインサービスの認知度」「生活への満足度」「職業」「世帯年収」「1日(平日)に最も時間を割いている活動」などの項目が上位となっており、年代による影響があるほか、「居住地域」や「職業」「世帯年収」といった、利用者の属性に関連した項目もデジタル化への意識形成に影響を与えていることが判明したという。
そのほか、「行政オンラインサービスの利用意向や認知度」も影響を与える項目の上位に入っていることから、3者は、社会全体のデジタル化において行政分野が重要な役割の一つを担っているとの見方を示している。
そんな「行政のオンラインサービスの認知度」について各層の回答を見てみると、「使ったことがある」「使ってみたがその後使わなくなった」と回答した人の中で「デジタル積極層」の占める割合が5割を超えるという結果に。
「使ってみようと思ったが分かりにくくて使えなかった」「オンラインでどのような行政サービスを提供しているか知らない」と回答した人では、「置き去り層」が約2割を占めた。
どの点が充実・改善されれば使いたいと思うかという質問に対しては、「デジタル積極層」の占める割合が高かった回答項目は「デザイン・操作性」であるのに対し、「置き去り層」の割合が最も高かった改善点は、「分からないことがあった場合のサポート体制」だったという。このことから、3者は、オンラインサービスの拡充を進める際には、いかにオンライン上で「気軽に聞ける環境」や「サポート体制が万全であるという安心感」を醸成できるかが鍵になっているとの見解を示している。