TrendForceによると、2022年第2四半期のファウンドリ市場は、ウェハ出荷数の増加とウェハ価格の上昇が、消費者市場の鈍化を打ち消し、売上高上位10社の合計額が前四半期比3.9%増の332億ドルとなったという。
この2年ほど続いた多くの半導体不足は、消費者市場の冷え込みなどもあり解消が進み、一部で散発的な不足が生じている程度となっている。そのため、市場をけん引しているのは安定した需要がある自動車や産業機器分野だとTrendForceでは説明している。
2022年第3四半期も成長は持続か?
2022年第3四半期については、LDDI/TDDIやテレビ向けSoCの受注が減少したほか、Appleを除くスマートフォン(スマホ)向けアプリケーションプロセッサ(AP)などの生産減に伴い、ファウンドリの稼働率が低下していることが指摘されている。その一方、Appleが新型iPhoneを発売するなどといったイベントもあり、市場低迷に一定の歯止めがかかることも予想されており、TrendForceでは、同四半期のファウンドリトップ10売上高合計は、高価格な先端プロセスに牽引される形で数%ほどながら成長が持続するものと予想しういる。
ファウンドリ各社の動向だが、トップのTSMCの第2四半期の売上高は、市場が減速する中で、HPC、IoT、自動車からの強い需要を追い風に前四半期比3.5%増の181億4500万ドルを記録。NVIDIAやAMD、中Bitmainなど多くのHPC関連の顧客が、先端プロセス製品の生産品目を増やしていることから、5/4nmプロセスの売上高は同約11.1% 増となり、プロセス別で見た同四半期の売上高比率でトップとなった。また、7/6nmプロセスもミッド/ローエンドのスマホ市場の低迷があったものの、HPC関連からの需要が強く、売上高も同2.8%増となったという。
業界2位のSamsungは、7/6nmプロセスの生産能力を徐々に5/4nmプロセスに移行させつつ、製造歩留まりの改善も進んだ結果、同四半期の売上高は同4.9%増の55億8800万ドルとなった。同社は、GAAアーキテクチャを適用した最初の3GAEプロセス製品を同四半期の終わりより正式に量産開始。最初の顧客には、中国の暗号通貨マイニング企業PanSemiが含まれているという。ただし、3nmプロセスは複雑であるため、製造を終えるまでに2四半期ほどかかる見通しで、収益化は2022年末以降になると予想されている。
3位のUMCの同四半期の売上高は同8.1%増の24億4800万ドル。増強分の28/22nmプロセスが順調に立ち上がったこともあり、同プロセスの売り上げは全体の22%まで上昇し、けん引役となったという。4位のGlobalFoundries(GF)の同四半期売上高は、同2.7%増の19億9300万ドル。少量だが生産能力が増強されたことに加え、生産能力の大部分に対する長期契約(LTA)保証の恩恵を受けた形だという。例えば、QualcommとはLTA期間を2028年まで延長する新たな契約を締結している。特に、5G RFトランシーバとWi-Fi 7関連の生産は注目に値するという。5位のSMICの同四半期売上高は同3.3%増の19億300万ドル。スマホ部門の売上割合は25.4%に低下した一方、スマートホーム部門がWi-Fi、Bluetooth、PMIC、ネットワーキングおよびスマート制御向けMCUなどを伸ばし、売上増につながったという。
下位ファウンドリ各社の業績はピークに到達
6位は中Hua Hong Groupで売上高は同1.1%増の10億5600万ドル、7位がPSMC(Powerchip Semiconductor Manufacturing)で同1.4%減の6億5600万ドル、8位がVIS(Vanguard International Semiconductor)で同7.9%増の5億2000万ドルとなっている。PSMCの減速は、消費者向けDDIおよびCIS(CMOSイメージセンサ)の生産量が減少したため。一方でPMICは同22.6%増と伸びており、特定のPMICではあるが、高い需要が続いていることを意味し、PSMCではPMIC生産ラインの増強を戦略として掲げている。
9位のNexchipは、生産能力の増強とプロセスの拡大を背景に売り上げを伸ばし、同四半期の売上高は同4.5%増の4億6300万ドルとした。同社は中SmartSensと提携し、90nm CISを開発し、生産量を増やして行くとしているほか、MediaTekとの提携によるスマホ用PMICを開発し、非ドライバIC事業の業績を伸ばしている。そして10位はTower Semiconductorで、売上高は同1.2%増の4億2600万ドルとしている。