ガートナージャパン(Gartner)は10月6日、日本におけるデータ活用の取り組みに関する調査結果を発表した。これによると、自社のデータ活用で「全社的に十分な成果を得ている」という企業は2.2%に留まり、ほとんどは全社的な成果を得るまで至っていないことが分かった。

同調査によると、データ活用に関して、自社の一部も含めてある程度の成果を得ていると回答した割合は、計78.8%を占めた。

データ活用の取り組みを積極的あるいは消極的と評価する理由について複数回答で尋ねたところ、積極的な理由の上位3項目には、「データが意思決定に役立つ」(71.7%)、「ビジネス状況を把握できる」(68.6%)、「関係者への説得力が向上する」(65.9%) が並ぶ。

一方、消極的な理由の上位3項目は、「必要なデータが手に入らない」(60.6%)、「スキルが不足している」(54.5%)、「周囲が消極的」(36.4%)だった。

同社のアナリストでシニア ディレクターの一志達也氏は、「組織でデータ活用を推進しようとしているデータとアナリティクス(D&A)のリーダーがすべきことは、個人の積極性のばらつきを調査によって正確に把握し、目指す姿と比較して積極性が不足しているところに策を講じること。組織全体で十分なビジネス成果を得るためには、教育や支援といった環境、資格や評価といった制度も整備して、継続的に後押しすることが肝要だ」と述べている。

  • データ活用に関する従業員教育・資格制度の状況 出典: ガートナージャパン

データ活用に関する自社の従業員教育や資格制度の状況を見ると、半数強の組織が何かしらの教育環境や制度を持っていたが、「教育や資格制度、手当はない」が43.6%で最多だった。

同社は、データ活用を推進してビジネス成果を得たいと考える組織のデータとアナリティクスのリーダーは、単なる人材不足以上にスキルの適切な配置と役割の定義を考える必要があると指摘する。

一志氏は、「そのためには人事部などとも協働し、業務上の役割ごとに必要なデータ活用のスキルを明らかにして、人材ポートフォリオを作成することが求められる。さらに、その不足を補う教育環境を整備して実行すると同時に、社内資格や手当、昇進や任命への反映などの制度設計についても尽力すべきだ」と提言している。