ネットワンシステムズ(ネットワン)は10月5日、事業戦略発表を開き、中長期的なサービス強化の方向性や、同社が目指すサステナビリティの姿などについての発表を行った。
1988年に企業内ネットワーク事業からスタートした同社は、同事業に加え、インターネット事業、クラウド事業、セキュリティ事業、デジタル化サービス事業など、事業の幅を広げている。従業員数は2700人を超え、2023年3月期の連結業績は2100億円の売上高を見込んでいる。
代表取締役社長 執行役員の竹下隆史氏は冒頭、「インターネットが誕生する以前からいち早く市場を捉え、ネットワークを中心とした事業を展開してきた。デジタル化の加速が進む近年においては、あらゆるビジネスに対応できる柔軟なインテグレーションが必要不可欠だ。ネットワークの技術力、目利き力、インテグレーション力の3つの強みを活用し、ICTで社会課題解決できる唯一の企業になることを目指している」と語った。
具体的には、既存事業に隣接する3つの注力領域で事業成長を加速していく。1つは「デジタルガバメント」。自治体や地方公共団体を対象に、情報セキュリティクラウドや地域社会のICTインフラの高度化を推進していく。
2つ目は「society5.0を実現する社会基盤」だ。通信インフラだけでなく、電力、ガス、鉄道インフラの高度化も推進していく。3つ目は製造業を対象にした「スマートマニュファクチャリング」。データ利活用による事業価値の向上や、事業領域のセキュリティ強化、脱炭素経営に向けた見える化サービスの拡充を進めていくとしている。
同社の現在の主力領域はICT基盤の高度化だ。今後は、提供するサービスの高度化を図っていくと同時に、先進事例の横展開も進めていくとのこと。システムのコンポーネントだけでなく、運用や保守を含めて共通化・自動化によって効率的なシステムのプラットフォームを提供していく。インテグレーション型からリカーリング型のビジネスへと転換していく考えだ。
また同社は、サステナビリティに向けた取り組みも加速させている。2022年に「サステナビリティ委員会」を新設し、同委員会が各部門でのサステナビリティに関する状況を把握し、社員参加型で議論を進めているという。中学生を対象とした社会見学や職場体験、GX(グリーントランスフォーメーション)ビジネスの加速などを実施しているとのこと。
一方で、同社はガバナンスと企業文化の改革を急いでいる。ネットワンは過去に資金流用や不正な原価の付け替えなどの不祥事を起こしており、「過去の不祥事を二度と繰り返さないための『企業文化改革』を重要施策と位置付け、専門組織を取締役会の諮問委員会として設置した」(竹下氏)という。不祥事の再発防止策の浸透を図る。
具体的には、三洋監査の連携を行い経営監視体制を強化し、不祥事を風化させない仕組みを作っていくとのこと。また、8つのテーマで策定した再発防止策の改善に努め、内部統制システムの強化も図っていく考えだ。
それに伴い、同社は理念の浸透に向けた取り組みを実施していく。社員一人ひとりの具体的な行動宣言を行ってそれを発信し、イベントや対話を経て、定期的なアンケート調査で浸透度を分析していく。
「デジタル化の需要が高まる中、社会課題の解決に貢献できるビジネスにこそ商機があると捉え、当社の特徴を生かして更なる成長発展を目指す」(竹下氏)