企業理念実践の物語を共有する年次イベント「TOGA」
制御機器・ヘルスケア・社会システム・電子部品の4ジャンルを軸に事業を展開するオムロンは、国内外に数多くの拠点を持つグローバル企業だ。アジアや欧米など世界中で事業を展開する同社は、世界中の全社員が参加し、国や事業の枠を超えた共感と共鳴の輪を拡大させる、年に1度の社内向けイベントを行っている。
それが「TOGA(The OMRON Global Awards)」だ。TOGAは、オムロンが掲げる企業理念「よりよい社会をつくる」の実践に向けて、社員が自発的にチャレンジし続ける風土を醸成することを目的に開始された。同イベントでは、1年間に社内からエントリーされた中から選ばれたゴールド賞や特別賞のテーマについて、代表のメンバーが発表を行う。
選考の際には各組織や地域での予選が行われ、それらを通過したテーマが、京都の会場でグローバルに共有される。エントリーに際しては、社員同士でチームを組んで企業理念をどう実践するかを宣言し登録することが必要で、1人の社員が複数のテーマでエントリーすることも可能だという。
カーボンニュートラルやヘルスケアなど約7000テーマがエントリー
2022年9月21日には、第10回目となるTOGAが京都で開催された。今年度は6944テーマがエントリーされ、参加人数はのべ5万1736人。これはオムロンの社員数である2万9020人を大きく上回っており、複数テーマへのエントリーが多いなど、社員の積極的な参加が見られたとのことだ。
今回のTOGAでは、その中から世界6地域で行われた地域大会で選ばれた17のテーマに関して、それぞれのチームがプレゼンテーションを実施。京都の会場とオンラインでのハイブリッド形式で開催され、1万1000人以上の社員が参加した。またそれに加え、700名強の社外ゲストがオンラインで参加したという。
発表テーマには、環境問題やヘルスケア問題などの社会課題解決に向けたものが多く見られ、また昨今のコロナ禍で浮上した課題に対してチャレンジするものも見られた。
日本からは6テーマが発表され、「製造業におけるカーボンニュートラルへの貢献」や「少子高齢化が進む中での交通課題の解決」など、実際に多くの人が直面している社会課題に対し、試行錯誤しながら解決を目指す様子が語られた。
「TOGAが1年で1番大好きな日」と語る山田社長
オムロン代表取締役社長の山田義仁氏は、「10年前に取り組みがスタートした時。TOGAがこれほど大きなうねりを起こすとは思っていませんでした」と話す。しかし、脈々と受け継がれる企業理念の実践を「筋金入り」と例えた山田氏は、「TOGAが1年で1番大好きな日です」と語った。
また、同社取締役会長の立石文雄氏は、TOGAの講評として「社会課題の解決に根差したオムロンらしいテーマが多く見られました」と話し、「今日発表されたテーマを自分に重ね合わせて、自身の仕事がどのような良い社会づくりに結び付いているのか、その意義を改めて見つめなおしてほしい」と締めくくった。