倉敷中央病院とNECソリューションイノベータは10月5日、心筋梗塞や糖尿病など生活習慣に起因する疾患の予防医療に向けて、生活習慣病の発症リスクを予測するAI(Artificial Intelligence:人工知能)の共同研究を開始することを発表した。

具体的には、倉敷中央病院が保有するカルテと倉敷中央病院付属予防医療プラザが保有する健康診断の情報をAIに学習させて、現在の健康診断結果から未来の生活習慣病の発症リスクを予測するAIの開発を目指すという。なお、AIの開発に使用する情報は、個人を特定できない匿名加工情報を使用する。

  • 開発するAIの利用例

    開発するAIの利用例

今回の共同研究においては、倉敷中央病院が保有する約45万人分のカルテと予防医療プラザが保有する過去10年分の健康診断結果を使用して、将来起こりうる生活習慣病の発症リスクを予測するAIをNECソリューションイノベータが開発する。まずは心筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患、および糖尿病などの内分泌疾患を対象とし、その後は腎疾患や肝疾患への拡大を検討するという。

倉敷中央病院としては、地域医療機関と連携して構築を進める「地域医療エコシステム」でこのAIの活用を見込んでいるようだ。AIで予測した疾患発症リスクに応じて、人間ドックやオプション検査など適切な検査の推奨、疾患発症に対処する治療や生活習慣の改善などの予防プランを提案し、地域住民が安心して暮らせる環境づくりへ貢献したい考え。

NECソリューションイノベータは、少量の血液から疾患発症リスクを予測するデジタルヘルスケアサービス「フォーネスビジュアス」を展開するなど、予防医療の普及と推進に取り組んでいる。将来的には同サービスの中で提供している「NEC 健診結果予測シミュレーション」へこのAIの導入を検討するようだ。