日本触媒とDeNAからスピンオフしたAI開発企業、ALGO ARTIS(アルゴ・アーティス)は、AIを活用し日本触媒の高吸水性樹脂(SAP:Superabsorbent polymer)の生産計画を最適化するソリューションを開発。10月より姫路製造所で運用を開始したことを発表した。
日本触媒の高吸水性樹脂SAPは紙おむつなどの主要原料。同社は、用途に合わせて吸水性、保水性の異なる製品を複数生産し、生産ラインを切り替えながら大量発注や需要変動に手動で対応してきたが、業務量と人材の育成と伝承、効率的な生産計画の策定などで課題を抱えていた。
今回、同社は関西電力石炭火力発電所の燃料運用最適化ソリューションの開発を行ったALGO ARTIS社と共同でSAP生産計画を最適化するソリューションを開発。AIには、手動で行ってきた熟練者の経験やノウハウ、実務上の複雑な運用ルール等を言語化・定型化し移植。生産量の最適化を行うことで、作業現場でのライン切り替え回数の削減と停止時間の短縮、現場負担の軽減を実現している。計画作成能力も今まで1日かけて作成してきた三カ月分のスケジュールを30分で作成できるようになるなど能力向上を達成しており、本年10月より姫路製造所で本格稼働している。日本触媒は、2021年4月に策定した長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」を策定、それに基づいたものであることを発表している。今後は別の製品の生産ラインに開発したシステムを導入し更なるDX化を進めていくという。