onsemiは9月29日(米国時間)、電気自動車(EV)向けに車載充電と高電圧(HV)DCDC変換を目的とした、トランスファモールド技術によるSiCパワーモジュール「APM32シリーズ」として、3モジュールを発表した。
APM32シリーズは、EVの効率向上と充電時間短縮のために、SiC技術をトランスファモールドパッケージに適応した製品で、特に11~22kWの高出力オンボードチャージャ(on board charger:OBC)用に設計されている。
3つのモジュールはいずれも低伝導損失とスイッチング損失を特長とし、高い熱抵抗と800Vのバス電圧に対応できる高電圧絶縁を備えているおり、高効率と低発熱により高出力なOBCを実現できるとのことで、ドライバーやパッセンジャーにとって重要な要素である、EVの充電速度の短縮と航続距離の延長が可能になるとしている。
APM32のモジュールは、同社のエンドツーエンドSiCサプライチェーン対応と実績のあるSiC MOSFETおよびダイオードを使用することで、高い信頼性を達成しているほか、各モジュールにはシリアルナンバーを付与することで完全なトレーサビリティを実現したという。
同モジュールは、最大175℃の接合部温度(Tj)での動作が可能で、スペースが制約された厳しい車載アプリケーションでも信頼性が確保される。
また、「NVXK2TR40WXT」と「NVXK2TR80WDT」の2モジュールは、ブレークダウン電圧(V(BR)DSS)が1200VのHブリッジトポロジーで構成され、高電圧バッテリースタックへの適性を保証している。これらはOBCおよびHV DCDC変換ステージで使用するように設計されているという。3つ目のモジュール「NVXK2KR80WDT」は、ウィーン整流器トポロジーで構成され、OBCの力率改善(PFC)ステージで使用されるという。同社では、SiC OBCのポートフォリオを完成させることを目的に、近い将来、6パックモジュールとフルブリッジモジュールの発売も予定しているとする。
なお、3つのモジュールはいずれもコンパクトかつ堅牢なデュアルインラインパッケージ(DIP)に収められ、低モジュール抵抗を実現している。トップクールおよび絶縁は、自動車業界規格に適合しているほか、沿面距離と空間距離はIEC 60664-1およびIEC 60950-1に適合している。また、これらのモジュールは車載用規格AEC-Q101およびAQG 324にも準拠しているという。