自動車部品メーカーの仏Valeoと傘下にLeti(国立電子技術情報研究所)を抱えるフランスの代替エネルギーおよび原子力庁(CEA)は、電気自動車(EV)用の次世代のパワーエレクトロニクスの開発で協力することで合意したことを発表した。

パワーエレクトロニクスは、EVのモーター制御、エネルギー管理、充電速度などの性能の鍵を握っており、両者はEVの電力効率の向上(航続距離の延長)、パワートレインの最適化、車載パワーエレクトロニクスの軽量化を目的として、革新的な電子技術やパワー半導体技術の研究に協力するという。

この協定は、欧州の国境を越えたプロジェクトを通じて、戦略的で将来を見据えた産業分野(France 2030)でイノベーションを促進することを目的とした、エレクトロニクスに特化したIPCEI(欧州共通利益の重要なプロジェクト)の一部であるという。

CEAからは、傘下のLetiが、研究中のエネルギー変換システムを最適化するためのデジタルツインの定義と設計だけでなく、マイクロエレクトロニクスと半導体材料の分野で専門知識を提供するという。CEA-Letiの最高経営責任者であるSébastien Dauvé氏は「このパートナーシップは、革新的なパワーコンポーネントの設計から高性能変換システムの開発に至るまで、業界をサポートするという当研究所の使命と完全に一致している。私たちはValeoの戦略を支持できることを嬉しく思う。私たちのチームは、温室効果ガスの排出を削減するという課題に強い意欲を持って研究に取り組んでいる」と述べている。

一方のValeoのパワートレインシステムビジネスグループのプレジデントであるXavier Dupont氏は、「Valeoは、パワーエレクトロニクスの分野におけるCEAとの新たな協力により、カーボンニュートラルの課題に取り組むと同時に、自動車の電化をさらに加速させる」と述べている。

なお、2022年6月14日にフランスのINPI(知的財産研究所)が発行したリストによると、Valeoは2020年1年間に1,777件の特許を出願するなど、技術革新に注力しており、今後は特にEVのための次世代パワーエレクトロニクスの研究開発に取り組むとしている。