2020年の後半から2022年5月まで続いたDRAM市場の好況が、突然のように終わりを遂げてしまったと半導体市場調査会社である米IC Insightsが指摘している。
それによると、DRAMの月間販売金額の記録的な高さは2022年5月まで2年ほど続いたが、6月に前月比36%減、7月に同21%減と急減し、7月の市場規模は5月の約半分ほどと縮小したという。
世界中で進む急激なインフレとそれに伴う景気減速懸念から、コンシューマのスマートフォン(PC)やPC、テレビなどの電気製品に対する支出が減少していることに加え、最終セットメーカー側も、積み増した在庫の消費を優先し、新規のDRAM発注量を減らしているという。
また、6月と7月に見られたDRAM市場の減速についてIC Insightsでは、DRAMサプライヤの決算やコメントを注視しなければ短期的なイベントとして片づけられた可能性があるとしている。例えば、Micron Technologyは、2022会計年度第4四半期(6~8月)の売上高を前年同期比21%減と予測している。同社は、9月29日に同四半期ならびに通期業績を発表する予定で、その結果が、2022年の残りの期間の半導体業界の先行きを示す可能性がある。また、Nanya Technologyの2022年8月単月のDRAM売上高は、ドルベースで2022年3月比で53%減と落ち込んでいるほか、Samsung Electronicsの半導体部門の責任者であるKyung Kye-hyun氏も「2022年後半の反動景気は悪化する見込みであり、2023年も好転する見込みはなさそうに見える」と述べたという。
半導体業界はこれまで、DRAM市場が循環的な景気後退期に入ると、市場が急激に下落することを経験してきた。2000年以降を例に挙げると、いずれの景気後退期も少なくとも5四半期にわたって続き、DRAM市場はその間において少なくとも40%ほどの縮小を経験している。IC Insightsでは、現在の見通しを踏まえると、2021年第3四半期のピークと比べ、2022年第3四半期にはDRAM市場は38%ほど縮小すると予測されるおしているほか、2022年第4四半期から2023年初頭にかけてDRAM市場がさらに下振れする可能性もあるとしている。