1Passwordはこのほど、「Unlocking the login challenge: how login fatigue compromises employee productivity, security and mental health」において、ログイン操作の煩雑さが従業員の生産性やメンタルヘルスにどのような影響を与えるかをまとめた調査結果を公開した。
同調査によって、複雑なログイン操作を覚えなければならないことは、従業員のメンタルヘルスに負担をかけ、業務の生産性を大きく損なうことがわかった。また、多くの従業員は、ログインの煩雑さを回避するためにセキュリティレベルを下げる行動を取っているという事実も明らかにされている。
1passwordによる調査は、主にコンピュータでフルタイム勤務する北米の成人2,000人を対象に行われた。この調査に参加した従業員のうち、半数近くに迫る44%が、ログインやログアウトのプロセスが気分を害し、生産性を低下させると回答したという。実際、37%の従業員はログインについて時間がかかったり混乱に陥ったりした経験があり、26%はログインの手間を避けるために仕事が完了できなかったことがあると答えている。さらに、ログインがうまくいかずにミーティングを欠席や遅刻をしたことがあるという従業員は62%に達した。
問題は生産性の低下だけにとどまらない。一部の従業員は、煩雑なログインを回避するために、同僚とのログイン情報の共有や、他人のログイン情報の使用といった危険な対応をとっていることも明らかになった。また、ログインをしなくても作業を完了できるように回避策を講じているという回答もあった。これはすなわち、認証が不要な状態で業務を実施するということであり、セキュリティリスクを高める行為である。
業務とプライベートの境界が曖昧になっているという問題も発覚した。45%の従業員が、個人のメールやSNSアカウントを、職場でのシングルサインオンに使用していると答えている。企業は個人アカウントのセキュリティリスクを監視できないため、業務システムのセキュリティリスクを高めることにつながる。
1passwordでは、企業が複雑なログインプロセスを設けるにはそれなりの理由があるとはいえ、従業員の立場に立ってアプローチを見直すべきであり、従業員にとって使いやすい人間中心のプロセスに改善する時が来たと指摘している。