新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、地球環境産業技術研究機構(RITE)、三菱重工エンジニアリングの3者は9月20日、1日あたり数kg規模で大気中からCO2を直接回収できる小型の試験装置を開発し、分離回収するCO2固体吸収材の評価に着手したことを発表した。
内閣府の総合科学技術・イノベーション会議において、日本発の破壊的イノベーションの創出を目指し、挑戦的な研究開発(ムーンショット)を推進するために2018年度に創設された「ムーンショット型研究開発制度」。そして、NEDOが2020年度から「ムーンショット型研究開発事業」においてスタートさせたのが、ムーンショット目標4「2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現」に向けた取り組みだという。
ムーンショット目標4を実現するには、大気中のCO2を直接回収するDAC(Direct Air Capture)技術を確立することが重要とされる。しかし、大気中のCO2濃度が増加したとはいえ、400ppm(0.04%)ほどとわずかであり、植物はそうしたわずかなCO2を吸収できるが、人間が技術的に同じことを実現しようとしても、現状の技術では困難とされている。
この困難とされるムーンショット目標4の達成に向けてNEDOは、金沢大学、RITE、三菱重工エンジニアリングと共同で、大気中からの高効率CO2分離回収・炭素循環技術の開発に取り組んでいる。その中で行われている1つが、低濃度のCO2を従来技術よりも低い温度で分離回収できるシステムの実現に向けた、CO2固体吸収材とその性能を最大限に引き出せるCO2回収プロセスおよびシステムの開発だという。
そうした中、今回、NEDO、RITE、三菱重工エンジニアリングの3者が着手したのが、大気中のCO2を分離回収するCO2固体吸収材の評価となる。1日あたり数kg規模で大気中からCO2を直接回収する小型の試験装置(DAC小型試験装置)が開発され、同装置を活用することで、実機サイズのCO2固体吸収材を評価できるようになったとするほか、装置の大型化・実用化に向けたデータの収集、知見の蓄積も可能となり、これによりDACの開発が前進したとしている。