2022年9月17日、台湾の南東地域で太平洋に面した台東市関山郷でマグニチュード6.4の地震が発生したのに続いて、9月18日にも台東市池上郷でマグニチュード6.8の地震が発生したことを受け、半導体・ディスプレイ市場動向調査会社である台TrendForceが、これらの地震の台湾の半導体およびパネル産業への影響に関する緊急調査結果を発表した。
多くのファウンドリでは、衝撃を吸収する建屋の設計により、半導体ファブ内の震度は屋外よりも1段階抑えられているという。そのため現在、台湾各地の半導体工場から重大な被害の報告はされていないという。一方のメモリに関しては、南亜科技(Nanya)が製造を止め、検査を実施しているというが、もしウェハの損傷が確認された場合であっても、すでに同社は補償するのに十分な在庫を維持しているという。Micron Taiwanも製造装置の検査から損失がないことを確認したとしており、供給に支障は生じないとしている。
ディスプレイパネルメーカーに関しては、パネル業界全体が現在、供給過剰によるダウンサイクルに入っており、各社ともに減産を進めている。そのため、2022年第3四半期のパネルメーカー各社の平均稼働率は65%に留まる見込みで、台南のInnoluxの工場も9月より大規模な減産を開始しているため、今回の地震の影響は限定的になるとしている。TrendForceによると、地震の際に製造装置は減速もしくは停止されたが、その後、検査の後、操業を再開したという。また、一部のパネル工場については、全体的な需要の低迷を踏まえ、生産ラインのメンテナンス期間を延長することとしたともいう。
このほか、受動部品であるMLCC(積層セラミックコンデンサ)に関しては、YageoとWalsin Technologyの工場が高雄の鹿竹、大寮、南子地区に設置されているものの、携帯端末市場の需要鈍化により、生産設備の稼働率は7月以降約70%に低下している。そうしたことから、各工場ともに、週末の残業をなくし、通常の勤務シフトに移行させており、焼結プロセスのみを継続的に稼働させている状態だという。なお、高雄地区の電力供給については地震の影響を受けておらず、生産ラインの焼結炉は通常どおり稼働しているとするほか、これら2社の工場が抱える完成品在庫は90日を超えており、十分に安定した供給が可能であり、市場への影響は軽微であるとしている。