アイリッジと東急建設は、RFID(無線自動識別)タグとスマートフォンアプリを活用して工事現場で使う工具の照合作業を自動化するサービス「工具ミッケ」を共同開発し、10月1日から販売を開始することを発表した。PoC(概念実証)では、工具の照合作業における工数について、最大8割程度の削減効果が認められており、10月中に東急建設の5カ所の現場での導入も決定しているという。

同サービスには、「工具管理アプリ」「RFIDスキャナ」「RFIDサンプルタグ」「陸上移動局申請書類」「総務省への申請代行」の5つが含まれている。アプリの主な機能としては、工事現場に持ち込む工具のリストを作成する「工具持ち込みリスト作成」、ヤードからの工具持ち出し時や工事開始前・工事終了後に、使用した工具をスキャン機能にてRFID読み込みし、不足している工具が一目で分かるようになる「工具数量チェック」、工具数量チェックで全ての工具がそろった時のみ、作業完了報告が、送信ボタンをタップするだけで、ペーパーレスで作業完了報告ができる「作業完了報告」の3つがある。

  • アプリの画面イメージ

同サービスは、2019年に電波利用申請の新たな局種として「陸上移動局」が施行されたことを踏まえ、特定されない作業場所や、移動車両による設備点検での使用を想定した機動性の高い設計となっている。また、使いやすいUIを特徴としており、現場職員一人ひとりが各自のスマートフォンアプリから情報更新や確認を行えるため、現場へのノートPCの持ち込みも不要。

今までは、鉄道工事で使用する数百種類の工具に関して、現場への置き忘れを防止するため、これまでは持ち出す工具をまずヤード(資材置き場)で紙に書き出し、現場に移動後作業開始前に1回、作業終了後に1回、ヤードに戻って1回の計3回、1つずつ目視確認をしながら慎重に照合するという作業が毎回行われていたという。しかし、同サービスを利用することで、ひとまとめにした工具類の上にRFIDスキャナをかざすだけでスマートフォンアプリ上のリストと照合でき、PoCではトラック1台分程の工具類でも1分かからずに照合から作業報告完了までできている。ターミナル駅の工事現場など、大規模な現場ほど工数削減の効果が期待できるという。

両社は、今後の展望として、10月中に東急建設の工事現場5箇所での本格導入を進め、加えてアイリッジと取引実績のある鉄道会社の建設現場を中心に2022年度中に20カ所の展開を目指すとともに、今後もサービス改善を重ねながら、より幅広い建設現場のDXを支援していくことを表明している。