千葉工業大学(千葉工大)は9月16日、同大創造工学部デザイン科学科 松崎元 教授がイグ・ノーベル賞「工学賞」を受賞したことを発表した。松崎教授の受賞で日本人の受賞は16年連続となる。

今回受賞した研究の概要は、身の回りに存在するさまざまなつまみやグリップ、ノブやダイヤルなどを、使用者は何本の指でどの位置に触れて回すのか、通常は無意識の行為として行ってしまうものを、45本の直径が異なる円柱に対し、32名の被験者に回してもらい、操作開始時の指の使用本数と接触位置を統計的に解明したというもの。

松崎教授が大学院生だった約20年ほど前に取り組んだ実験で、その成果は、つまみの大きさや形状をデザインする際に役に立つと考えらるという。また、松崎教授は受賞に際し、「今では軽く操作できるレバーハンドルの方が一般的ですが、タッチパネルや非接触の動作に関する研究も増えています。20年以上前のある種時代遅れの研究かもしれませんが、コロナ禍で人とモノの関係をあらためて考えるきっかけにもなると評価されたのかもしれません。受賞について、研究者としては『人々を笑わせ考えさせた研究』ということで複雑な気持ちでしたが、着眼点を評価された『デザイナー』としては大変嬉しく思います。これを機に無意識の行為を研究する若い研究者やデザイナーにもっと注目が集まることを期待しています」とコメントしている。