Sansanは9月16日、「インボイス制度に関する実態調査」の結果を発表した。これによると、6割以上の経理担当者がインボイス制度への対応に不安を感じているという。

同調査は同社が8月21日~24日にかけて、全国の請求書業務を行う経理担当者を対象にオンライン形式で実施したものであり、有効回答者数は1000人。

インボイス制度の理解度を尋ねると、「詳しく知っている」(17.1%)と「概要を知っている」(51.0%)の合計が68.1%に上り、「まったく知らない」は7.6%に留まった。

  • インボイス制度の理解度(全体) 出典: Sansan

従業員の規模別では、「まったく知らない」との回答は100人以下の企業が10.3%と規模別では最も多い。「詳しく知っている」とは1000人以上の企業では27.1%に上り、従業員規模が大きな会社ほど理解が進んでいる傾向がある。

  • インボイス制度の理解度(従業員規模別) 出典: Sansan

インボイス制度を知っていると回答した経理担当者924人に対して、適格請求書発行事業者ではないことを理由に取引を中止することは下請法違反にあたる可能性があることを知っているか聞くと、「知っている」が48.8%を占めた。

  • 適格請求書発行事業者ではないことが理由の取引中止は下請法違反にあたる可能性の認知状況 出典: Sansan

同じくインボイス制度を知っていると回答した経理担当者に、適格請求書発行事業者への登録状況を質問すると、登録申請済みが43.4%で最も多く、登録申請を検討中は29.2%であり、登録申請はしないという回答者は8.9%に留まる。

  • 適格請求書発行事業者への登録状況 出典: Sansan

取引先が適格請求書発行事業者かどうか事前に確認するかについて、「すでに確認している」は16.1%だった。「現時点では確認していないが、確認する予定がある」が50.6%を占める。

  • 取引先が適格請求書発行事業者かどうか事前に確認するか 出典: Sansan

インボイス制度の導入に対して不安を感じているかを聞くと、「とても不安を感じる」(21.6%)と「やや不安を感じる」(43.3%)が計64.9%に上った。

  • インボイス制度の導入に不安を感じているか 出典: Sansan

不安に感じる理由では、「従来の請求書業務より工数が増える」が53.6%で最も多く、「インボイス制度と電子帳簿保存法を併せて検討しないといけない」(50.2%)が続く。

  • インボイス制度の導入で不安に感じる理由(複数回答) 出典: Sansan

インボイス制度の理解度は高く、一部の企業では適格請求書発行事業者への登録や取引先への確認を始めているなど、理解・事前準備が進んでいること半面、具体的な対応には多くの経理担当者が不安を感じている。

特に請求書業務に関しては、2022年1月施行の電子帳簿保存法と併せた対応が求められており、2つの法制度に対応しながら業務効率化できるサービスが担う役割はより一層大きくなると、同社は予想している。