科学技術振興機構(JST)は14日、よりよい未来社会のあり方を科学者と市民がともに考える国内最大級の科学イベント「サイエンスアゴラ2022」の概要を発表した。10月2、20~22日、11月1日のオンライン開催に続き、11月4~6日に3年ぶりに東京・お台場で実地開催(一部配信あり)する。
今年のテーマは「まぜて、こえて、つくりだそう」。人々の安全と安心を確保しながら、一人一人の多様な幸せを実現できる、持続可能でしなやかな社会をつくるには、さまざまな視点や知見を取り込むことが必要だ。市民や研究者、政策立案者など多様な立場の人々による知の共創や、それを支える多層的な科学技術コミュニケーションは一層重要さを増している。その実現に向けては、急速に発展した科学技術の専門知識を分かりやすい言葉で説明し、中立的な立場で多様な意見を包摂し、建設的に議論を進めることが必要だ。そうした対話を通じて、未来社会への足がかりを得ることも期待されている。
こうした中、今年のサイエンスアゴラは総合知(多様な知が集い、新たな価値を創出する知の活力を生むこと)につながる機会を多数提供し、さらに実地開催会場の「ご意見募集ボード」に集まる声を出展内容とともに分析して、科学技術に対する期待や不安、未来社会への要請を明らかにすることに挑戦するという。JSTは「140を超える出展企画を通して、多種多様な視点を“まぜて”、年齢、性別、身体能力、価値観、思い込みなどを“こえて”、未来像を“つくりだす”取り組みにご期待下さい」としている。
主催者企画を除く全企画が公募で選ばれており、自然科学のみならず人文・社会科学を含めた研究者、企業、中高生、科学館などが、対話重視のブースやセッション企画を提供する。SDGs(国連の持続可能な開発目標)やSTEAM(スティーム=科学、技術、工学、芸術、数学の分野横断)、研究分野での女性の活躍への意識の高まりを反映したものなどが見受けられる。
サイエンスアゴラは例年、お台場で開催してきたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受け、2020年と21年はオンライン形式とした。今年は検討の結果、十分な感染予防対策を取った上で一部の実地開催を決定。ただ今後の感染状況の変化によっては、オンラインを除き中止する場合があるという。
実地開催の会場は主にテレコムセンタービル(東京都江東区青海)。参加無料(一部実費、通信料は参加者負担)。参加の事前登録方法などの詳細は順次、特設サイトで公開していくという。
サイエンスアゴラ2022推進委員会(委員長=塩崎正晴JST理事)が選んだ注目企画は次の通り。いずれも変更になる場合がある。カッコ内は会場名。
◎10月2日
- サイエンスとアートの出会い~未来を創る君たちへ~(東京大学先端科学技術研究センター=東京都目黒区駒場、オンライン)
◎10月20日
- 対話の「場」を科学する-参加型「対話ガイドライン」(オンライン)
- 隣り合う未來(みらい)~市民と科学者の垣根を越えて~(同)
◎10月22日
- 分子で世界を変える! みんなで作る未来の研究テーマ(同)
◎11月5日
- 研究者大喜利~漫画の世界を一緒に実現するぞ!編~(テレコムセンタービル)
- モバイル顕微鏡でミクロ世界からSDGsに取り組もう(同)
- ラジオ理系の森 特別編 サイエンスアゴラの星(同)
- 皆で紡ぐ! 未来のブラックホール研究(同、オンライン配信可)
◎11月6日
- 映画「イヴの時間」から考えるロボットと人間の今とこれから(テレコムセンタービル)
◎11月5~6日
- ドクター・ナダレンジャーの楽しく学ぶこわい災害(同)
- 「つくる」から「科学」を考える(同)
- 電子ホタルでシンクロしよう!(同)
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