インドの多国籍コングロマリットVedantaは9月13日、台湾の鴻海精密工業とともに、インドのグジャラート州との間に総額200億ドル規模の半導体およびディスプレイ製造工場に関する基本合意書(MOU)を取り交わしたことを発表した。

この合意は、鴻海とVedantaが協力して28nmプロセスを用いた半導体製造を行う300mmウェハファブ設立に向けた第1段階で、まずは60億~80億ドルを投じ、2年以内に半導体工場を建設するとしており、これは鴻海グループがインドで自動車用半導体製造を行うための新たな一歩となるという。Vedantaは天然資源の採掘と運営から始まった会社で、1965年に設立されたインドの多国籍グループの1社。近年、鴻海との協業を深め、半導体やディスプレイ事業などといったハイテク分野への参入を目指している。

すでに鴻海とVedantaは2022年2月、インドでの半導体製造事業の合弁会社設立に向け、鴻海が子会社を通じて1億1870万ドルを出資し、株式の40%を取得する覚書を取り交わしている(残りの60%はVedantaが所有)。

今回のグジャラート州との取り決めに基づき、鴻海とVedantaは、グジャラート州アフマダーバードに、半導体工場(前工程)ならびにパッケージング・テスティング(実装・検査)工場、第8世代のデイスプレイパネル工場を建設するという。アフマダーバードに取得した用地は405haほどで、99年間無料の条件で州政府から借り受け、水や電力は20年間の優遇料金が適用される契約になっているという。ただし、半導体製造工場の生産能力など詳細は公表されていない。

なお、グジャラート州は、インド・モディ首相の故郷であり、モディ首相は就任前に、同州の知事を務めていた。モディ首相は2022年6月にインドを訪問した鴻海の劉揚偉・董事長と会見しており、半導体などの生産能力をインドで拡大しようとする鴻海の計画を歓迎すると表明している。