ガートナージャパンは9月15日、データに基づいて戦略策定、計画立案、ビジネスの意思決定などを行えるデータ・ドリブンな組織を目指すうえで、「人」「牽引力」「仕組み」「支援」の4つの要素をバランスよく備えるべきであるとの見解を発表した。

「人」は、役割に応じて必要なスキルやリテラシーを備えた人材を指す。データ&アナリティクス(D&A)に携わる人材の選抜や育成は、企業の経営課題や事業課題を理解したうえで戦略的に行い、評価することが重要だ。同社は、高度な人材ほど役割を明確にし、組織のどこでどのように動き、どのような成果を求めるかを、組織と人材の間で合意しておく必要だと指摘する。その際には、適正に評価する仕組みと同時に、報酬面を含めた制度の整備が必要だという。

「牽引力」は、リーダーに必要な要素だ。リーダーには方向性やビジョンの提示や戦略策定・推進、人材の任命・評価など広範囲に及ぶ役割が求められる。リーダーシップを発揮して変革を推進する際には、組織内で共感を得て協働し、成果を共有できる人間関係を構築することが重要であり、そのためには、リーダー自身がD&Aについて理解した上で自分事として考え、ビジネス成果の獲得に向けて強力に組織を牽引する必要がある。

「仕組み」では、効果的なガバナンスや制度などの設立を同社は重視する。ガバナンスや制度などを定め、施行し、維持運営する仕組みは、経営層や事業責任者のようなビジネス上の利害関係者の合意が不可欠となる。役員会や経営会議と同様に、ガバナンスの意思決定機関を設け、そこで合意を伴った意思決定が行われるようにする必要があるという。また、同社はガバナンスの効果を高めるには、ITではなくビジネス主体で継続的に取り組むことが重要だと指摘する。

「支援」では、現場でのデータ活用が進むような支援が求められる。同社は主に、現場でデータ活用が適切に行われるよう監視・サポートするスチュワードという役割の任命と、現場におけるデータ活用の気運を盛り上げて、文化を醸成するのためのコミュニティの形成を重視する。スチュワードは任命するだけでなく、必要な教育を施し報酬を提供しなければならない。コミュニティ形成においては、組織の広範での情報共有や自発的で積極的な活用促進などが行われるよう、コミュニティのリーダーを任命することも重要となる。