米IC Insightsによると、2022年上半期の半導体企業による半導体企業、資産、製品群、および関連事業のM&A契約の総額は4つの大規模な契約(19億ドル~94億ドル)を含め206億ドルとなるという。
また、2021年は上半期が約182億ドル、下半期が約44億ドルであり、上半期は前年比でプラスとなったが、2022年の通年総額は2021年を超えるものの、活発なM&Aの動きが見られない限りは、過去最高を記録した2020年(1179億ドル。AMDによるXilinxの株式取得やNVIDIAによるArm買収交渉の公表などがあった)を除いた近年の年間平均額である約290億ドル(±20億ドル)を下回る見込みだとしている。
同社のM&A調査は、買収完了ではなく発表時点での数字であり、その対象は半導体企業、ビジネスユニット、製品ライン、ウェハファブ、およびチップIPの所有権で、半導体企業によるソフトウェアおよびシステムレベルのビジネスの買収や、半導体資本設備サプライヤ、材料メーカー、チップパッケージングおよびテスト会社、設計自動化ソフトウェア会社の買収などは含まれていない。 2022年上半期のM&A総額206億ドルのほとんどが4件の半導体企業による買収案件で、それ以外にいくつかの少額な半導体買収契約があったら、それらの価値は2500万ドル以下で総額に大きな影響を及ぼしていない。
2022年上半期の最大取引は、破産した半導体コングロマリットTsinghua Unigroup(清華紫光集団)の中国の投資コンソーシアムによる買収合意。多額の負債が返済できなくなった柴光集団に対し、2022年4月、政府が支援する北京建光資産管理(JACキャピタル)が、投資会社グループを率いて94億ドルを支払っている。2番目の大きな買収案件は、IntelによるTower Semiconductorに対する54億ドルでの買収で、現金による買収が進められ、2023年初頭までに完了する予定となっている。
3番目の規模は、米MaxLinearによる台湾Silicon Motionの買収案件。38億ドルの現金と株式で買収が進められ、2023年上半期に完了する予定。NANDストレージ用コントローラICがMaxLinearのRFおよび混合信号製品のラインナップに追加される見込みとなっている。
そして4番目がAMDで、パケットプロセッサおよびクラウドコンピューティングソフトウェアのスタートアップである米Pensando Systemsを19億ドルで買収する契約で、買収は2022年5月に完了した。なお、AMDが2022年2月に完了させたXilinxの最終的な買収額は498億ドルで、半導体史上最大の半導体M&A取引となったという。