台湾の半導体市場動向調査会社であるTrendForceは、2022年第3四半期のNANDフラッシュメモリウェハの契約価格下落率について、当初予測していた前四半期比15~20%から、同30~35%へと見直しを行ったことを明らかにした。

背景にはピークシーズンともいえる第3四半期において在庫の調整が進んでおらず、市場の取引が低調となっており、サプライヤが取引継続のために値下げを行っているという。また、この値下げの動きがさらなる値下げを呼んでおり、下落率が大きくなっているという。

2020年ならびに2021年、新型コロナの影響から世界的なデジタル化の潮流が生じ、ノートPCやサーバからの高い引き合いがNANDの需要を高め、サプライヤ各社は積極的な生産拡大を進めてきた。また、3D NANDの層数も128層以上の割合を拡大させてきた。

しかし、2022年下半期のNANDを取り巻く市況は悪化しており、中でもスマートフォン(スマホ)とノートPCの需要が低迷。2023年に向けても、さまざまな家電ブランドが保守的な姿勢を見せるなど、ポジティブ要因が少なく、サプライヤ各社はシェア獲得のために値引きをせざる得なくなっているという。

TrendForceでは、2022年下半期の継続的な価格下落の一方で、一部サプライヤが生産調整を行わない場合、企業統合などに向けた動きなどが引き起こされる可能性が高まるとの見方をしている。現在、サプライヤ数に大きな変動はない一方で、NAND価格は長期的に大きく変動し続けることが予想され。そうした状況にあっても、サプライヤ各社はより技術レベルの高い生産に移行する必要があり、それに伴った設備投資の増額に耐えられなくなる可能性もあることから、この価格下落の勢いが加速するようであれば、市場再編に向けた呼び水になる可能性があるとする。

なお、TrebdForceは2022年第4四半期のNANDウェハ価格がどう動くかに注視する必要があるとしている。すでにサプライヤ各社は市場シェアを維持する戦略に舵を切っており、契約およびスポット市場のウェハ価格はさらなる値引き競争の影響を受けるとの見方を示しており、前四半期比でさらに20%ほど下落する可能性もあると予測している。