8月31日から9月2日まで幕張メッセで開催された電子機器や製造・検査装置の展示会、「第1回ネプコンジャパン【秋】」。
カシオ計算機は、プロジェクターによる床投映やドア投映による工場内の安全ガイドや、作業台投映による作業ガイドといったスマートファクトリー向けソリューションを中心に展示した。
作業台投影による「作業ガイド」
OKIが開発した「プロジェクションアッセンブリーシステム」は、組立作業を支援するソリューション。作業手順に従い、部品棚の間口が光り、部品の取り間違い防止や、作業効率のアップを支援する。作業台に手順の動画を投影することも可能だ。
システムはOKIが開発し、作業ガイドや動画の投影にカシオのプロジェクターが採用されている。
プロジェクションアッセンブリーシステムはプロジェクターやカメラを含めたシステム全体の導入となるが、小規模に導入したいというニーズに対し、カシオはプロジェクターのみを用いた工場内作業ガイドの構築例を紹介した。
紹介したのは、配線間違いを防止する作業ガイドのデモだ。配線の順番をプロジェクターで部品に投影することで、作業を支援する。配線間違いの防止は、自動車メーカーや産業機器メーカーでニーズが高いという。
プロジェクションアッセンブリーシステムはカメラを用い、1つの作業が終了すると、自動で認識して、次の作業を投影する。しかし、配線間違い防止のデモでは、作業者が自分でフットペダルを踏むことで、次の作業の指示を投影するシステムにし、導入コストを下げているという。
カシオの担当者は、「プロジェクターを導入するだけなので、小規模に導入したいという企業だけでなく、セキュリティの関係で自社でシステム構築をしたいという企業にも提案していきたい」とした。
レイアウト変更に柔軟に対応できるプロジェクターによる安全ガイド
カシオは、スマートファクトリー向けに、工場内の安全ガイドの表示にプロジェクターによる投影を提案している。
安全ガイドは、床へのペイントが主流だが、レイアウト変更などに伴い、塗りなおす必要がある。プロジェクターによる投影は、塗りなおしやペイントの剥離がないのがメリットだ。点滅など表示に動きをつけて、注意をひくこともできる。
カシオの担当者は、剥離した粉末などの混入防止のためペイントができない工場にも、プロジェクターによる安全ガイドを提案していきたいとしており、そういったニーズがある化粧品メーカーなどの化学系の工場で導入検討が進んでいるという。
また、すばやく電源のオン・オフを切り替えることができるというカシオのプロジェクターの特徴を活かし、安全ガイドのドア投影デモも紹介している。
ドアが閉まっている時には安全ガイドを投影し、ドアが開くとプロジェクターの電源がオフになり、投影しないというシステムだ。
ドアを開けた際にプロジェクターの光が顔に当たると、まぶしく感じ、前方がはっきり見えないなどの危険性がある。フォークリフトなどが行きかう工場では、前方が見えないと衝突リスクがある。そのような危険性にも対応できるように構築したデモだという。
図面投影など建設現場でのDXに向けた提案も
カシオは、工場などの製造業だけでなく、建設業のDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた提案も行っている。
建設現場での図面投影だ。床や壁に図面を投影し、関係者で同じ情報を共有しながら作業を進めることができる。
これらのプロジェクターを用いたソリューションは、カシオの組み込み専用プロジェクションモジュール「LH-200」や軽量でコンパクトながらも高輝度をほこる「FORESIGHT VIEW(CX-F1-RD)」といったプロジェクターが用いられている。
それぞれ、価格や耐熱温度などが異なるため、導入先の条件によって、提案機種を変えているという。
カシオの担当者は、「工場現場などでのさまざまな活用事例を展示した。このようなプロジェクターの活用方法は、まだまだ知らない方も多いので、さまざまな方に知ってもらいたい」とプロジェクターを用いたソリューションについてアピールした。