昭和電工は、同社100%子会社である韓国昭和化学品は、韓国での半導体製造用高純度ガスの需要増に対応することを目的に、韓国安城市にある貯蔵施設の能力拡張工事を実施したことを発表した。
韓国昭和化学品は、昭和電工グループの扱う20種類以上の高純度ガスを取り揃え、韓国での販売、技術・品質サポート、マーケティングを担っている現地法人。日本や他のアジア拠点の製品を韓国へ輸入販売するほか、韓国の製品を、アジアのみならずアメリカにも輸出する役割も担っているという。
昭和電工グループでは充填から出荷・配送、容器の回収、分析保証を、ディーラーを介さずに自社で管理しており、販売先の要望にいち早く対応可能な直販体制を強みの1つとしており、韓国での高純度ガスの旺盛な需要に加え、世界的な物流の混乱や物流費用高騰に対応しながら安定供給を維持するためには、韓国内の物流拠点の充実化が喫緊の課題だったという。
今回の拡充では、2007年に設立された同貯蔵施設の敷地面積を約2倍に拡大したほか、貯蔵能力の増強、事務棟の建て替えを実施。加えて、顧客サポート体制の強化も行ったという。
昭和電工グループは、半導体製造用エッチングガスで世界トップシェアを有しており、半導体用高純度ガス事業は毎年10%以上の成長を続けている。
なお、昭和電工は、高純度ガス販売担当の韓国昭和電工化学品とは別に、SKグループと2017年に半導体用特殊高純度ガスの製造を行う合弁会社「SK ShowaDenko」を韓国に設立し、窒化膜のエッチングガスであるCH3Fの現地生産を行ってきたほか、HBrの現地生産も準備中だとされている。
また、この2社は半導体の製造工程で使われる高純度ガス事業の北米での協業を検討する覚書(MOU)を2022年6月末に締結しており、2社共同で北米にて半導体用高純度ガスを生産する準備を進めている。すでに住友化学の韓国子会社が米国での半導体製造用高純度薬品の製造を発表しており、今後、半導体サプライチェーンの強靭化・自国内完結をめざす米国政府の誘致により日韓半導体材料メーカーの米国進出が進むものと思われる。