MM総研(MMRI)は9月7日、2022年6月時点のデジタルリスクサービスに関する利用動向をまとめたレポートを公開した。
このレポートは、Webでの情報発信を日常的に行う国内企業11,038社の中からデジタルリスクサービスを利用している749社を抽出し、企業経営者、総務企画担当者、情報システム担当者などを対象に、6月3日~9日の期間、Webアンケートを実施し、その回答をまとめたもの。
調査では、デジタルリスクに対処するサービスのうち、Web上のネガティブ情報を検知する「検知系サービス」、およびSEO対策など適切な情報を露出させてデジタルリスクの影響を軽減する「対策系サービス」の2種類を対象としている。
拡大推計によると、2021年度のデジタルリスクサービスの市場規模は77.4億円で、前年度比15.0%増と拡大。リスクの高まりとこれに対応するサービスの多様化を背景に、2024年度には139.2億円に拡大するとMMRIは予測している。
市場分類別では、検知系サービスの2021年度の市場規模は35.3億円となり、2021年度から2024年度までの年平均成長率(CAGR)は18.6%になると予測。一方、対策系サービスの2021年度の市場規模は42.1億円で、2024年度までのCAGRは24.0%と予測している。
現在の企業側のデジタルリスクへの取り組みとして、「対策を実施している」・「過去に『炎上』などを経験しており、対策を徹底している」の合計は19.0%であった一方、「何も実施していない」企業は58.0%と、デジタルリスクの脅威を理解し、何らかの対策を取る企業は未だ少数派であった。「何も実施していない」理由を尋ねると、「直近で深刻なリスクが発生していない」(26.3%)が最多であった。
また、「デジタルリスクに詳しい人材がいない」(23.6%)、「どのようなデジタルリスクサービスを利用すればよいかわからない」(21.2%)、「デジタルリスクに対応する人員を確保できない」(18.6%)と、企業内にデジタルリスクに対する知見が蓄積されておらず、何から着手するべきかわからないという企業が多い。
一方で、すでにデジタルリスク対策を実施している企業は、検知系サービスでは約6割、対策系サービスでは約7割の企業が2022年度の支出額を増やすと回答した。さらに、2022年度では支払額を「前年度の2倍以上に増やす」と回答した企業が、検知系サービスでは15.9%、対策系サービスでは17.4%に上った。反対に「前年度よりも減らす」「利用を取りやめる」と回答した企業は10%以下にとどまった。
デジタルリスクサービスに関する委託事業者を選定する際の基準を確認すると、検知系サービス・対策系サービスともに提供する事業者の実績、信頼性、担当者のスキルなど人的な要素を重視。その一方で、技術的要素については「セキュリティが高くて安心できる」という点を除いてさほど重視されておらず、技術的な優位性よりも自社の特徴・実績を示した上で具体的な顧客課題を適切に解決する提案能力がより重視されている。
また、サービスの未利用企業が利用を検討したいサービスについては、「企業研修」(42.6%)、「デジタルリスクに対する社内体制構築支援」(26.1%)、「企業法務支援・訴訟対応」(24.4%)の順で、いずれもデジタルリスク発生の予防や事前の対策シミュレーションなどに関するサービスであった。