freeeは9月7日、GovTech領域の強化に向けた新プロダクトを発表した。同日より変更登記書類をオンラインで作成できる「freee登記」の提供を開始し、10月上旬に許認可申請をオンラインで完結させる「freee許認可」の提供を開始する。

記者会見に登壇したfreee プロダクトマネジャー 小泉美果氏は「スモールビジネスが直面する課題は山積みで、煩雑な手続きに時間を割いている。創業期から成長期の企業支援に加えて、安定期に入った後の行政手続きも支援し、GovTech領域を強化する」と新プロダクト発足の背景を語った。

  • freee プロダクトマネジャー 小泉美果氏

    freee プロダクトマネジャー 小泉美果氏

freeeはこれまで、「freee会社設立」と「freee申告」の2つのサービスを通じて、会社設立や税務申告を支援してきた。約2週間かかる会社設立を1日に、3日~2週間かかる税務申告を最短2時間に短縮させてきた。

今回発表した2つのサービスが支援するのは、変更登記と許認可だ。

変更登記とは、会社設立後に設立登記に記載した内容に変更があった際に必要になる手続きのこと。会社住所の変更「本店移転」や、役員の新任・退任「役員変更」、会社の事業内容の変更「目的変更」、会社の増資「募集株式の発行」などだ。

freeeの調査によると、変更登記で多いものは「役員変更」で、会社設立後に3回以上変更登記をしている経営者は約34%。また、約34%が「専門家が書類作成・法務局に提出した」と回答し、変更登記における悩みの上位に「専門家に依頼する費用が高い」ことを挙げている。

  • 変更登記で多いもの 出典:freee

    変更登記で多いもの 出典:freee

  • 会社設立後に変更登記をしている経営者 出典:freee

    会社設立後に変更登記をしている経営者 出典:freee

  • 約34%が「専門家が書類作成・法務局に提出」 出典:freee

    約34%が「専門家が書類作成・法務局に提出」 出典:freee

司法書士へ依頼した場合の平均相場3~5万円。かといって自分で作成・提出まで行う場合、「必要な情報を調べ、書類を作成し、法務局に申請に行く」ことになり労力と時間がかかってしまう。

9月7日より提供を開始する「freee登記」は、変更登記書類をオンラインで作成できる。10種類の変更登記に対応しており、項目を埋めるだけで最短7分で書類が完成する。オプションの郵送プランで法務局に行かずに申請が完了し、専門家に頼むよりもコストを抑えられるのがメリットだ。

  • 「freee登記」サービス画面

    「freee登記」サービス画面

  • 10種類の変更登記に対応

    10種類の変更登記に対応

一方、許認可とは、特定の事業を行う際に行政機関から取得しなければならない許可のこと。特定の事業を始めるときには行政からの許可・認可・免許、または行政への届出が必要だ。それらを総称して一般的に「許認可」と呼ぶ。

例えば、軽貨物で配送業を始めたい人は「軽貨物営業届」、中古品を売買したい人は「古物商営業許可」、お酒を販売したい人は「酒類販売業免許」が必要だ。許認可の数は年々増加しており、現在1万5000種類の人許可が存在している。

  • 許認可の数は年々増加

    許認可の数は年々増加

しかし、許認可申請は課題が多い。書類の収集が大変で、作成する書類が多く記入が煩雑であり、変更登記と同様に専門家に依頼すると高額になる。行政書士へ依頼した場合、平均相場5~15万円とのこと。一方freeeの調査によると、煩雑にも関わらず「自ら書類作成から提出まで行った」と回答した企業は約40%だった。

  • 約34%が「専門家が書類作成・法務局に提出」 出典:freee

    煩雑にも関わらず「自ら書類作成から提出まで行った」が約40% 出典:freee

10月上旬から提供を開始する「freee許認可」は、許認可申請をオンラインで完結させることが可能。無料で利用できるのが特徴で、20分程度で書類作成が完了するという。スマートフォンからも申請ができ、フォームに情報を入力すること書類が自動作成され、提出手順を案内してくれる。

  • 「freee許認可」入力フォーム

    「freee許認可」入力フォーム

  • 書類の自動作成

    書類の自動作成

  • 提出手順の案内

    提出手順の案内

行政書士が直接監修しているサービスで、1stリリースとして軽貨物営業届に対応を開始する。2022年年末には古物商営業許可、2023年春には飲食店営業許可、建設業許可に対応する予定だ。その他の許認可にも順次対応を開始していく方針だ。

「これからのデジタルガバメントは、官民で進める時代だ。これからも行政手続のデジタル化を後押ししていく」(小泉氏)