NTTデータ経営研究所は9月5日、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に7月に実施した「新型コロナウイルス感染症と働き方改革」の調査結果を発表した。
同調査では、働き方改革の取り組み状況とその効果のほか、2019年より調査を行っている「就業時間外の連絡(つながらない権利)」についても経年で概観し、コロナ禍を経た従業員のキャリア志向の変化を調査分析したもの。
2020年以来、働き方改革に取り組む企業は増加していたものの、今回の調査では前回(2021年)の調査と比べて9.9ポイント減少し、全体の46.1%となった。ただし、働き方改革を「実施していない」は微増に留まり、「わからない」とする回答割合が増加していることから、コロナ禍が長期化する中で勤務先の働き方改革に関する取り組みが従業員から見えにくくなっている影響が表れている可能性があると、NTTデータ経営研究所はみている。
働き方改革の取り組みでは、「テレワーク制度」(58.9%)と「休暇取得の推進」(53.8%)が、継続して行ってほしい施策として最も多く挙がった一方で、「副業や兼業を認める」「残業代削減費用の従業員への還元」「ワーケーションの実施」などについて「制度はないが実施してほしい」とする回答が2割超となった。
上司から就業時間外において業務に関して緊急性のない電話やメール(LINEなどを含む)があり、通話・返信などを週1回以上対応している人は16.0%と、前回調査と比べて、6.5ポイント減少しているほか、同僚間においては15.9%と9.1ポイントの減少がみられ、調査開始以来、初めての減少となった。前年度調査においては、テレワークの普及により就業時間外における連絡が容易となる中で、つながらない権利の確保に向けた社内ルールの整備などが進展している可能性があると同社はみている。
「コロナ禍を経て、働き方・今後のキャリア志向に何らかの変化があった」と回答した人(24.2%)と「コロナ禍を経て、働き方・今後のキャリア志向に何らかの変化がなかった」と回答した人(75.8%)について、キャリア志向にどのような変化があったか比較すると、前者は「自身の専門性の有無に関わらず、新しいことに挑戦し続けたい」(28.1%)という回答が多かった。
その一方で、後者では「雇用の安定性を重視して働きたい」(35.6%)、「同じ職場において同一業務に従事し続けたい」(32.9%)が多く、「自身の専門性の有無に関わらず、新しいことに挑戦し続けたい」(9.0%)と回答した人は少なかった。
コロナ禍前と比べて、転職時に重視する条件に変化があったと回答した人(11.8%)のうち、重視する条件として「テレワークが導入されている、または許可される頻度が高いこと」(35.4%)が多かった。これは「給与水準が高い」(38.5%)の次に高く、「自身の目指すキャリアと業務内容が合致している」(31.5%)より高かった。
また、テレワーク導入によるメリットとデメリットを比較して「メリットが上回ると感じる」という回答(69.5%)が多かった。メリットを感じている点については「通勤等の移動時間を他の時間に充てられる点」(73.3%)、「通勤等の移動がない分、身体的な負担がない点」(59.8%)、「身支度を簡略化できる点」(33.7%)が上位となり、通勤からの解放を理由に挙げる回答者が圧倒的に多かった。