三菱電機は、光ファイバー通信用の光トランシーバーに搭載される光デバイスの新製品として、デジタルコヒーレント通信の大容量化と光トランシーバーの小型化に貢献する「チューナブルレーザーダイオードチップ」のサンプル提供を10月1日より開始すると発表した。

データ通信トラフィックの急増に伴い、光ファイバー通信の長距離通信網やデータセンター間の通信網などで、従来の100Gbpsから400Gbpsへの高速大容量化が求められる中、既存の光ファイバーの通信効率を高めるため、デジタルコヒーレント通信方式の適用が拡大しているという。

その一方で、高速大容量対応の光トランシーバーを既存の限られたスペースに新たに設置するには、光トランシーバーのさらなる小型化が必要とされるものの、パッケージで提供されているチューナブルレーザーダイオードでは、光トランシーバーの小型化が難しいという課題があったという。

そうした背景の下、同社は今回、広い波長帯に対応することでデジタルコヒーレント通信の大容量化に貢献するチューナブルレーザーダイオードチップを開発することにしたという。

  • チューナブルレーザーダイオードチップのイメージ

    (左)チューナブルレーザーダイオードチップのイメージ。(右)チューナブルレーザーダイオードチップの適用例 (出所:三菱電機プレスリリース)

その広い波長帯への対応は、1~16チャネルの異なる発振波長を持つ16個のDFBレーザーが並列に配置されたアレイ構造の採用によって可能となったという。また、チップの温度制御により、チャネルごとに約2.7nmの波長変更を可能とし、発振波長1527.994~1567.133nmの1.55μm帯レーザー光出力が実現。そして、400Gbps光トランシーバー標準規格に準拠した広い波長帯に対応することで、デジタルコヒーレント通信の大容量化に貢献するとしている。

さらにチップでの提供により、ユーザーの光トランシーバーに最適なパッケージ設計が可能になるほか、これまで同社が開発してきた移動通信システム基地局向けDFBレーザーや、データセンター向けEMLチップで採用されている半導体製造技術を基に設計されており、高い信頼性を有しているという。

今後、同社では、2023年の量産化を目指し、デジタルコヒーレント通信の大容量化と光トランシーバーの小型化に貢献していくとしているほか、次世代の800Gbps市場の到来も見据え、チューナブルレーザーダイオードチップに加え、光変調器チップの開発を予定しているとしている。