大阪大学(阪大)は9月1日、まったく新しいバナジウム系2次元(2D)/1次元(1D)ハイブリッド超格子構造を合成することに成功し、特殊な走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いてその特異なハイブリッド超格子構造を解明し、同新物質が380K(約107℃)という高い温度であっても予想外の面内異方性ホール効果を示すことを明らかにしたと発表した。

同成果は、阪大 産業科学研究所の林永昌招へい准教授、同・末永和知教授に加え、シンガポール南洋理工大学、北京大学の研究者も参加した、総勢26名の国際共同研究チームによるもの。詳細は、英科学誌「Nature」に掲載された。

エピタキシャル成膜法の進歩により、1層あたりの厚さが数原子から数nmの超格子材料が実現され、ナノスケールによる量子効果で超格子物質は新しい性質を持つことが実験的に示されている。

近年、単原子層からなる2次元材料(グラフェン、遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)など)を人工的に積み重ねることで、異なる超格子構造の形成が可能となってきたが、これらの手法は、同じ次元の材料(たとえば2次元物質同士)を積み重ねて超格子を形成することに限定されていたという。そこで研究チームは今回、2次元物質(膜状)と1次元物質(鎖状)を組み合わせた、周期的な積層構造を持つ、異次元的なハイブリッド超格子の合成を試みることにしたという。