ASMLが独占的に製造・販売している最先端半導体製造に必要なEUV露光装置。その価格は1億5000万ドル(約200億円)を超えるとされ、かつその定格消費電力は約1MWと、一世代前の装置の約10倍と大きく、脱炭素に向けた世界のトレンドに対する障害になる可能性があるとBloombergが指摘している。
それによると、2022年8月時点で世界でもっとも多くEUV露光装置を量産導入しているのはTSMCで、80台余りを保有しているとされるが、今後もその数は増える見通しである。そのためTSMCの電力消費量は、2020年には台湾全体の約6%ほどであったのが、2025年までに12.5%にまで拡大すると予想されるという。さらにEUV露光装置の導入が進むと、将来的にはTSMCが台湾で消費される電力の多くの部分を占める可能性があるほか、Micron Technologyも台中市のDRAM量産工場にEUV露光装置を導入する計画があるという。
なお、ASMLの手掛けるEUV露光装置の出荷台数は、年々増加傾向にある。同社では2025年のEUV露光装置の出荷目標台数を当初70台としていたところを90台に増やすことを検討しているという。また、さらなるプロセスの微細化の実現に向けEUV露光装置のさらなる高NA化を近い将来予定しているが、これにより消費電力はさらに増加する見込みであり、EUVの需要が増す中、先端半導体ファブの消費電力削減の解決策は見い出されてはいない。