テクノロジーを活用した技術革新の加速や産業構造の変化、破壊的イノベーションを起こすディスラプターの登場などにより、現在のビジネスにおいては、意思決定の「スピード」と「質」を向上させることが求められている。

経験や勘に基づく経営判断を脱却し、社内外にあるデータの価値を創出できる環境を整備すること。――すなわちデータを活用したデータ駆動型経営へのトランスフォーメーションが、今後の企業競争力を左右することは間違いない。

6月23、24日に開催された「TECH+ EXPO 2022 Summer for データ活用 データから導く次の一手」では、編集部セッションとして「データ×ビジネス」で先を行く企業を2日間で12社招聘。データ活用に不可欠なソリューションを解説するスポンサーセッションと合わせ、計40セッションが用意された。

以下では、基調講演および編集部セッションのレポートへのリンクをまとめている。先進事例を通じて、経営戦略を考察するヒントにしていただきたい。

DAY1:基調講演

A-1:脳から考える偶有性を活かす経営戦略

  登壇者:脳科学者 茂木健一郎氏
データというのは一種の飛躍台であり、それが高くなればなるほど、遠くを見渡した飛躍も可能となる。しかし、世の実態は偶有性に満ちている。予測できることとできないことを認識してマネージすることに経営の本質がある。全てを引き受けかつ統合することが脳の命題であり、今後の経営戦略を考察するヒントになるはずである。

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編集部セッション

A-5:大きな変化の中でSUBARUが目指すDX

  登壇者:株式会社SUBARU 専務執行役員 CIO (最高情報責任者) IT戦略本部長 兼 経営企画本部副本部長 臺 卓治 氏
現在自動車業界はカーボンニュートラルに向けての取り組み、車両の外部接続とサービスの多様化等過去にない変化の時代を迎えています。このような大きな変化のうねりの中で、SUBARUがどのように乗り越えようとしているのか、またIT部門としてデジタルやデータをどのように活用していこうとしているのか、試行錯誤も含めてリアルな取り組みについて紹介をしたいと思います。

B-5:SMBCグループのデータ戦略とイノベーションが生まれやすい仕組みづくり

  登壇者:株式会社三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCDIO 谷崎 勝教 氏
新型コロナによる社会全体の急激なデジタル化、様々な規制見直し、顧客の行動パターンの変化など、金融機関を取り巻く環境は大きく変わりました。SMBCグループでは、デジタルを積極的に活用してサービスを向上させることによって顧客との接点を増加し、そこから得られたデータを活用してより良いサービスにつなげるデータ戦略を進めています。データ戦略を活用したSMBCグループのデジタライゼーションの取り組みに加え、新サービスやイノベーションが生まれやすい仕組みづくりについてご紹介します。

A-8:起点は“現場の困りごと”コニカミノルタの製造現場のデジタル変革~現場力とデジタル化の融合~

  登壇者:コニカミノルタ株式会社 上席 執行役員 生産・調達本部 本部長 兼 SCM 担当 伊藤 孝司 氏
コニカミノルタは、ビジネス現場で働くお客様の課題を共に解決し、新たな価値を創出し続ける企業を目指している。これからも多くの外部環境変化は必然であり、モノづくり現場としてその変化に対応しつづけなければならない。その為に、デジタル化とモノづくり変革のベースにある現場力との融合がいかに重要かについて、当社の考えや取組みについて語る。

B-8:金融データが行動を変える

  登壇者:株式会社マネーフォワード 執行役員 サステナビリティ担当 CoPA (Chief of Public Affairs) Fintech研究所長 瀧 俊雄 氏

A-11:新たな時代に向けたこれからのデジタル戦略とは

  登壇者:特定非営利活動法人CIO Lounge理事長(元 ヤンマー株式会社 取締役 CIO) 矢島 孝應 氏

B-11:第一生命における戦略的データ活用の推進

  登壇者:第一生命保険株式会社 イノベーション推進部 フェロー 板谷 健司 氏
当社では、事業生産性の向上や組織・働き方の変革による「経営体質強化」、多様化するお客さまの価値観・行動様式の変容に寄り沿った「CX向上」など、不連続かつ持続的な成長の実現に取り組んでいます。 これらのイノベーションを下支えするデータ活用は、「分析・可視化」というステージから、リアルビジネスに即した「戦略的活用」により、競争優位性を確保する時代に入ったと言えます。 活用と統制のバランスを保ちつつ、当社の強みを生かしたOMO(Online Merges with Offline)を実現することで、データ活用の実行性を高める具体的な取り組みや考え方についてお話しいたします。

DAY2:基調講演

C-1:AIとDXによって全面移行していく新たな「産業構造」の世界

  登壇者:作家・ジャーナリスト 佐々木 俊尚 氏
DXはむかしのITやOAとはまったく異なる。DXとは、AIとデータによってビジネスの「本質」そのものを変えてしまうことである。具体的な事例を挙げながら明快にわかりやすく「本質」を解説し、さらにその先に見えてきているメタバースやウェブ3の可能性についても考える。

編集部セッション

C-5:DXは目的ではなく手段~カルビー流DXのすすめ~

  登壇者:カルビー株式会社 執行役員 DX推進本部 本部長 小室 滋春 氏
当社では、中期経営計画(2020年3月期~2024年3月期)の重点課題の一つとして、DXが掲げられています。業務の課題を解決していくために、仮説を立て、社内のデータを集め、分析をするアプローチを「目標具現型」と定義し、現場と一体になって粘り強くDXの具体的施策を進めています。本講演では、参考事例として、具体的にどのように進めているのか、そして現場とデータをつなげて見えてきたもの、気づきから生まれた新たな取り組みや課題についてご紹介します。

D-5:お客さま最適化を追求する、小売りのデータ革命

  登壇者:株式会社データ・ワン 取締役COO 井上 博之 氏
2014年4月株式会社ファミリーマート入社。会員基盤の確立、CRMシステムの構築に携わる。マーケティング本部事業開発部で自社アプリの開発や「お母さん食堂」等のブランディングを推進。商品売場企画部として販売促進策に従事。2020年11月、株式会社データ・ワンに取締役として出向、2021年2月に執行役員に就任。新規事業である「データを活用したデジタルコミュニケーション」事業の開発会社立ち上げに従事。2022年3月に株式会社ファミリーマート執行役員を退任し、現在に至る。

C-8:データでは読めなかったファブリーズ大成功の理由 ~データで事前予測できないからこそのイノベーション~

  登壇者:株式会社インサイト・ピークス 代表取締役社長 ビジネス・マーケティング・リサーチ・キャリアコンサルタント NLP国際認定コーチ 米田 恵美子 氏
◆モデレーター◆
アサヒビール株式会社 消費者インサイト室 担当課長 西山 雅子 氏

D-8:業界最後発問屋のデータドリブン経営

  登壇者:トラスコ中山株式会社 取締役 経営管理本部 本部長 兼 デジタル戦略本部 本部長 数見 篤 氏
「人や社会のお役に立ててこそ事業であり、企業である」という当社のこころざしを起点に、お客様の不変の要求をデジタル能力で実現するため、当社が持つデジタル基盤を中心にバリューチェーン全体の生産向上に取組んでいます。業界最後発である当社の競争力の源泉は独創力です。自社が持つデータを活用し、他社がやらない物流、サービス、品揃え・在庫、商品をはじめとした、ありとあらゆるものをデータで管理し、お客様の不変の要求にお応えしています。業界最後発の問屋が歩むデータドリブン経営についてご説明いたします。

C-11:デジタルドリブンカンパニーへの変革

  登壇者:株式会社アシックス 常務執行役員デジタル統括部長 CDO・CIO 富永 満之 氏
アシックスでは、2020年発表のVISION2030において、3つの事業ドメインに共通するテーマの一つに「デジタル」を据え、翌年発表の中期経営計画2023では、戦略目標の1つとして「デジタルを軸にした経営への転換」を掲げ、全社一丸となってデジタルを意識した取り組みに注力しています。本講演では、過去から現在、そしてこれからの取り組みを、ランニングエコシステム、グローバルプラットフォーム、グローバル組織体制を中心にお話しします。

D-11:カスタマーデータドリブンというDXの考え方

  登壇者:J.フロント リテイリング株式会社 執行役常務 グループデジタル統括部長 林 直孝 氏
DXをCX(Customer Experience)をデジタルも使って顧客体験をより良いものとする取り組みとすれば、どの企業のDXにもデータによる「顧客理解」が必要なことは明白です。データをもとにDXを推進してきたパルコの事例を中心に企業のDXを考察します。