キヤノンは、電波を用いてRFIDタグを非接触で読み取るRFID(Radio Frequency Identification)を用い、ヒトやモノを効率的に管理する「Canon RFID 位置情報ソリューション」を開発したことを発表した。
キヤノンは大林組の建設現場において、2022年8月上旬に実証実験を実施。現場施工管理者の作業管理の効率化や、リソースの適切な配置によるコスト削減などを確認したという。さまざまな業界向けに2023年中に提供を開始する予定。
RFIDとは、電波を用いて、RFIDタグのデータを非接触で読み取る技術で、近年はアパレル業界における商品在庫管理やセルフレジなどで導入が進んでいる。バーコードによる管理では、レーザーなどを用いてタグを1枚ずつスキャンする必要があったが、RFIDでは電波を用いるため、複数のRFIDタグを一気に読み取ることが可能だ。
キヤノンが独自開発したRFIDリーダーは、360°方向に電波を発信するアンテナを搭載しており、移動量検知機能を搭載しているのに加え、小型・軽量を実現している。そのため、RFIDリーダーを腕に取り付けて使用することが可能で、読み取り作業をせずに通常の現場巡視を行うだけで、RFIDタグを貼り付けたヒトやモノの位置情報を収集することができるという。
また、専用アプリをインストールしたスマホやタブレットを通して位置情報を自動アップロードすることで、クラウド上に登録した現場のマップ上に表示することが可能。RFIDリーダーは、ニーズに応じて、持ち運びせずに固定設置して使用することもできる。
大林組と共同で行った実証実験では、建設現場における建設資材や機材、作業員の正確かつ効率的な所在把握の実現性に関する検証を行った。ヒトやモノを探す時間の削減による、現場施工管理者の作業管理の効率化や、リソースの適切な配置によるコスト削減などが見込まれるという。
キヤノンは今後、建設現場をはじめ、多数のヒトやモノの位置情報の管理が必要となる医療、物流倉庫、小売、オフィスなど多様な業種において、資材や製品の適正管理、人流把握による販売促進などへの活用を推進していく考えだ。